こんにちは。小林白菜です。
先日、STARTT編集長の吉田さんから「ブラック企業に入社してきて」と指示されまして。
ブラック企業に入社させられるパワハラって、ヒドすぎる! と驚いたのですが、実は、ブラック企業を体験できる来場者参加型イベント「THE BLACK HOLIDAY(ザ・ブラックホリデー)」を取材してきてほしいというものでした。
そこで先日の勤労感謝の日(11月23日)に開催された、「THE BLACK HOLIDAY」を取材してきました!
※ 記事内の写真も全てイベントのために演出されたフィクションの出来事ではありますが、ブラック企業での体験に強いトラウマがある方は、自己責任で読み進めてください。
■「THE BLACK HOLIDAY(ザ・ブラックホリデー)」とは?
「THE BLACK HOLIDAY」は来場者参加型の演劇イベントです。
参加者は、架空のブラック企業「スーパーミラクルハッピー株式会社」の新入社員として、出社初日の1日を体験。
再現度の高い「ブラック企業」体験を通して参加者にその実状を身を持って知ってもらい、「良い職場とは何か」を考えてもらうこと、自社の職場環境の改善につなげてもらうことがイベントの目的です。
一般参加者以外のブラック企業の社員は「劇団 子供鉅人(こどもきょじん)」所属の役者さんが担当。迫真の演技でモンスター上司やパワハラを受ける新入社員を演じます。
また上演中に展開する、いろんなパワハラ場面については、ブラック企業アナリストの新田龍氏が監修。フィクションではありつつも、実際にあった出来事を元にした、リアリティ溢れるブラック環境を実現しています。
■ブラック企業「スーパーミラクルハッピー株式会社」の1日
ここからは、実際のイベントの様子をご紹介します。
参加者が「スーパーミラクルハッピー株式会社」への入社1日目を体験するこのイベントは、「出社」、「朝礼」、「営業研修」、「社長面談」、「終礼」の順に進行。
ブラック企業の日常をリアルに感じられるイヤ~な展開が目白押しとなっていました。
■その1「出社」~30分前に出社して掃除をしろ!!~
イベントが始まると、一般参加者たちは新入社員として会場入り。
参加者たちは「始業の15分前に出社した」という設定なのですが、さっそく上司から「明日からは始業の30分前には来い!」と怒号が飛びます。
出社後、新入社員全員で掃除をさせられます。
まだ始業時間前ですが、「お前らが気持ちよく仕事をするためにやるんだから、始業前にやって当然だ!」と上司から怒号が飛びます。
■その2「朝礼」~ちゃんと全力でポーズを取れ!!~
始業時間になると、朝礼が始まりました。
「これから厳しいことも言うが愛のムチだと思え!」
新入社員への挨拶もそこそこに、全員で社訓を読み上げることに。
「ひとつ! 私たちは人類の健康に寄与します!!!」
「スーパー! ミラクル!!! ハッピー!!!!!」
社訓をひとつ読み上げるたびに社名を叫び、ポーズを取らされる新人たち。
もちろん全力でやらなければパワハラ上司たちの怒号が飛び交います。
ヘンなポーズを取ることに、なんの意味があるのか、とても聞けるような雰囲気ではありません。
一週間徹夜続きで就業中につい居眠りしてしまった社員に、上司が追い打ちの暴力を……って、来場者参加型のイベントとはいえ、役者さんが参加者に暴力振るうの!? と 思われた方もいるでしょうが、ご安心を。
実は、こちら上司も過労社員もお互いに役者さん。ブラック企業をよりリアルに演出するために、役者が演じる社員同士での強烈なパワハラシーンが展開されるのです。
演劇によるパワハラということはアタマでは理解できるのですが、役者さんの迫真の演技は見ていて心が痛みます。
ちなみにイベントにどうしても耐えられない場合、机の上に置かれた「退職届」を上司に手渡せば途中退場ができます。過激な演出が展開されるイベントなので、こういった配慮は必要ですよね。
■その3「営業研修」~独居老人だけを狙え!!~
新入社員が入社したブラック企業「スーパーミラクルハッピー株式会社」の主力商品は定価30万円の「ツボ押し機」。これを独居老人に売りつけることが営業の主な仕事です。
独居老人に販売ではなく“売りつける”方法を、上司が高圧的にときには口汚くレクチャーしていきます。社会的モラルに反する内容に聞いててイヤな気分になります。
なお営業成績がトップの社員は、ご褒美として「有給2日」がプレゼントされるとのこと。
有給の消化は労働者の権利なのに”ご褒美”って……。
■その4「社長面談」~占いの結果が悪いからお前はクビだ!!~
社長室に場所を移して行われた社長面談では、占いに凝っている社長夫人(副社長)による占いの結果が悪かったという理由でクビを言い渡されてしまう新人も。
相応の理由がないかぎり社員を解雇することはできないはずですが“占い”とは、まさかこれはさすがにこれは創作だろう……と思いきや、なんとこのエピソードは実際にあったとのこと!
世の中には僕の想像を超えるブラック企業が実在しているようです。
社長室でのパワハラはまだ続きます。
参加者は入社前の宿題として、前もって企画書を書かされていました。
この企画書を社長がチェックするのが面談の本来の目的。
しかしある新入社員が用意した企画書を社長が褒めると、上司が「それを書いたのは本当は私です」と手柄を横取りしはじめます。
さらにこの上司は「お前らの企画書は全部ダメだ!」となじり、せっかく書いてきた企画書をすべてその場でビリビリに引き裂いてしまったのです。
紙屑になった企画書を新人たちに拾わせるパワハラ上司。
酷いシーンの連続に、絶句するしかありません。
■その5「終礼」~タイムカードは切っておいた! 残業をしろ!!~
終業時間が来ると、女性上司が「タイムカードは切っておいたからここからは残業だよ」と、当然のように言い放ちます。
終業後もブラック企業の王道が展開されます。ブラック企業に王道なんてあってはいけませんが。
これに対して、労働の強要だと正論で不服を申し立てた新入社員(演者)は「残業ができないのなら死ね」と罵倒され、彼が楯突いた連帯責任ということで、新入社員全員が反省文を書き、ひとりずつ前に出て読まされることに……。
ここでも上司の機嫌を損ねる反省文は丸めて床に捨てられ、書いた新入社員に「自分で反省文を踏め」と強要するという、最後まで徹底して非道の限りを尽くす上司たち。
新入社員に「残った仕事が終わるまで全員帰るなよ」と言い放った上司たちが、自分たちだけ定時退社したところで今回の体験イベントは終了となりました。
■イベント終了後に再び現れたパワハラ上司、実は…
報道関係者向けの取材時間、脚本家・演出家として登場したのは先程まで最悪な上司を演じていた役者の益山貴司さん!
「まずは皆さんに謝りたい!」と口にする益山さん。
これまでも悪人を含め様々な役を演じてきた益山さんですが、一般参加者を罵倒するのは役者同士の演技とは全く違ったエネルギーが必要だったと語ります。
自分が書いた脚本ではあるものの、厳しい態度で接するのは申し訳ない気持ちになったことを吐露しました。
また演技として罵倒している際、少しずつ自分の言いかたがエスカレートしていく感覚に怖さを覚えたとのこと。
■まとめ
以前、僕が勤めていたヒドい会社のほうが“全然マシ!”と思えるほど、世の中には僕の想像を超えるブラック企業があることを、このイベントを通じて知ることができました。
また、自分が勤めている会社の労働環境がおかしいと感じている方にも、ぜひ参加してほしいイベントだと感じました(このイベントで起きた出来事のうちひとつでも身に覚えがあれば「ブラック企業予備軍」ですよ!!)
同様のイベントがまた開催されるときは、STARTT編集部がブラック環境にならないように、今度は編集長を引き連れて参加しようと思います!