エビ、カニ、ヤドカリやサンショウウオ、イモリ、カエル等のうんちくWiki「Decapedia」の中の人が身近な生き物について抜粋して紹介する特集コーナー。第3回は砂干潟でよく見られるカニ「コメツキガニ (Scopimera globosa)」です。
コメツキガニは本州以南の河口の砂干潟に棲息。北海道南部にも限定的に分布するとされています。
とても小さなカニで、砂干潟に穴を掘り潜むため発見するのが難しそうですが、シオマネキやチゴガニ、また乾いた砂浜に潜むスナガニ等に比べると警戒心が薄く、穴の近くで待っているとすぐに姿を現します。
干潟の陸地を見渡すとアリの群れが動き回っているように大量に見られることもあります。体色は灰色や茶色など、棲んでいる砂地の色に似た色をしています。
基本的には巣穴からあまり離れることはなく、潮が引くと穴から出てきて周囲の砂を口に入れ砂中の微生物等を食べています。そのため巣穴の周りに多数の砂団子を積み上げることで有名です。また決まった巣穴を持たず、あるいは追い出されたり埋まってしまったりしたか、干潟を走り回っている個体もよく見掛けますが、こういった個体は、柔らかい泥砂の場所にたどり着くと横向きに寝そべり、体をグルグル回して泥を掘り潜り込んで潜ります。
テレビ等で干潟の生き物の特集番組などでよく目にするカニにミナミコメツキガニ (Mictyris brevidactylus)がありますが、このコメツキガニとは近縁ではなく、科のレベル※1から違います。見た目や生態が似ているのは収斂進化※2の結果だと思われます。
※1:コメツキガニはスナガニ科、ミナミコメツキガニはミナミコメツキガニ科に分類されます。
※2:別々の祖先から環境に適応して同じ様な形態を獲得すること。
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干潟の生き物を飼育するのはとても難しいですが、コメツキガニは陸生傾向が強いので飼育できないこともありません。ただ、基本的には砂に潜って暮らしていますので、観察には不向きですし、長期飼育となると難しいので飼育はオススメしません。
また、スナガニ科のカニは素早く走るので捕まえるのも難しいです。
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