2019年9月6日より配信開始となりました、『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』。発売から30年近い時が経つ昨今も人気を誇る任天堂の家庭用ゲーム機、『スーパーファミコン』で発売されたゲームをNintendo Switchで遊べるダウンロード専用ソフトです。Nintendo Switch Onlineの加入者のみ、無料でダウンロードできます。
現時点で遊べるゲームは20本。
今後も不定期にタイトルが追加されていくことが予告されています。
そんなゲームの中には、過去にWii、WiiU、Newニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでの配信のほか、2017年に発売された『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』(以下、ミニスーファミ)にも収録されなかった作品があります。
中でもひときわ輝く一本が『ワイルドトラックス』でしょう。
『ワイルドトラックス』は1994年6月4日に任天堂から発売されたスーパーファミコン用カーレースゲーム。今回の『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』のほか、ミニスーファミにも収録された『スターフォックス』、『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』と同じ、「スーパーFXチップ」と呼ばれる特殊なチップを搭載した作品の一つです。
「スーパーFXチップ」をザックリ簡単に説明しますと、スーパーファミコンで三次元(3D)表現を可能にする集積回路のことです。
搭載タイトル第一弾として発売されたのが『スターフォックス』で、本作『ワイルドトラックス』はその第二弾でした。第三弾は『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』です。また、当時は発売中止となりながら、先のミニスーファミで復刻し、大きな話題を呼んだ『スターフォックス2』もそのひとつです。
このほか、任天堂以外から発売された搭載タイトルで『VORTEX(ヴォルテックス) THE FX ROBOT BATTLE』(※発売元:パック・イン・ビデオ、現在のマーベラス)なる作品もございます。さらにスーパーファミコン版『DOOM(ドゥーム)』と言ったタイトルもあるのですが……これ以上紹介すると本題に入れませんため、割愛いたします。
『ワイルドトラックス』はミニスーファミ収録の任天堂製FXチップ搭載作品の中で、唯一の外されたものです。それが今回、満を持して復刻を果たしました。
改めてその内容を紹介しますと、全3+1種類の車を操縦し、ライバルたちと競争するレースゲームです。最大の特徴はフル3Dのレースゲームであること。
坂道、段差と言った立体的な仕掛けがサーキット上に数多く登場し、飛んだり跳ねたりの激しいレースが展開されるのです。車の挙動も実際の自動車工学に基づいて設定されていて、操作感がとてもリアル。坂を進んでいる時に速度が小さくなったり、カーブする時に勢いが突きすぎると豪快にスピンして失速する、高い段差から着地すると衝撃の反動で少し制御が効かなくなるなどの生々しい反応を見せます。
挙動も車ごとに異なり、最高速度が大きいものほど、いかに反動を抑え込んで制御できるかが要求されます。まさに車の操縦に一喜一憂することを醍醐味としたレースゲームです。それもあって、癖も強めです。
オリジナル版未経験で、既にプレイされた方はその独特すぎる操作感に戸惑いを覚えたかもしれません。また、『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』には電子説明書が付属していないため、細かい操作などが分からないままかと思われます。
長い前置きになりましたが、この記事ではそんな本作の基本操作、ゲームモードなどの詳細を紹介します。
ほかに付録としまして、既に絶版となっている本作の任天堂公式ガイドブック(小学館)から一部引用する形で、ドライビングテクニック、本作の全サーキットの公式タイムレコードもご紹介します。
初プレイとなる方はもちろん、よりやり込みたいお気持ちのある方にも何らかの参考になれば幸いです。
≪目次≫
まず基本的な操作は以下の通りとなります。
(※キー名称はNintendo SwitchのJoy-con、PROコントローラを基にしています)
◇コントロールスティック / 十字キー(左右):ハンドル操作
◇コントロールスティック / 十字キー(上下):バランス
ジャンプ中、車を前後に向けてバランスを取り、斜面着地時の衝撃を少なくします。
◇Aボタン:ブレーキ、長押しでバック(後退)
◇Bボタン:アクセル
また、Bボタンはセレクト画面における「決定ボタン」です。
本作、昨今のゲームにおいてはお馴染みとなっている「Aボタンで決定、Bボタンでキャンセル」ではございませんので、ご注意を。
◇Xボタン:ジャンプ
警笛を鳴らしながらジャンプします。
また、ライバル車の体当たりを避けるのにも使えます。
◇Yボタン:ブースト
長押しで青い「ブーストメーター」を消費しながら加速します。
メーターはサーキット上にある「青い宝石」を獲得すれば回復します。
またセレクト画面におきましては「キャンセルボタン」となります。
◇LRボタン:大ハンドル(Lが左、Rが右)
コントロールスティック及び十字キーとの組み合わせでより大きく、素早くハンドルを切ることができます。単独で使った場合、ゆっくりとしか切れません。
主に急カーブなどの場面にて使うのがおすすめです。
◇スタートボタン:決定、レース中はポーズ
◇セレクトボタン:ビューチェンジ
近い(クローズアップ)、遠い(ロングショット)、運転席(コックピットビュー)の三種の順に切り替えられます。デフォルトは近い(クローズアップ)です。
また、視点の種類はゲームモードごとに異なります。
続いて、選べる車の紹介です。
◇4WD(最高速度:160㎞/h)
オフロードカー。耐久力に優れ、加速力も優秀。ただ、タイヤの設計上滑りにくく、コーナーを曲がる時に早めに切り出さないとコースアウトしてしまう恐れあり。ちなみにブーストと組み合わせれば、160㎞/h以上のスピードが出せる。
◇COUPE(最高速度:190km/h)
その名の通りにクーペ。優れた加速力、適度な耐久力、ステアリング(ハンドルの切れ味)の軽さが特徴。ただ、滑りやすい。コーナーを曲がる時はブレーキをかけるなどの制御が重要。
◇F-TYPE(最高速度:220km/h)
フォーミュラーカー。その設定に相応しい圧倒的な速度を誇る。しかし、耐久力が低めで、段差からの着地でも大きめのダメージを受ける。またブースト中のゲージの減りも激しいほか、やや滑りやすい。
さらにゲームモードの一つ「フリートラックス」では以下、四番目の車が選べます。それ以外のモードで使えるようにするには、「スピードトラックス」の「マスタークラス」をクリアして、エンディングを見る必要があります。
◇2WD(最高速度:220km/h)
見ての通りのバイク(二輪車)。最高速度はF-TYPEと同じ。
しかし二輪のため、カーブで曲がりすぎると派手に失速してしまう。
このほか、「スピードトラックス」のボーナスゲームだけで使える車で「TRAILER」がございます。その名の通りに車体が大きく、連結部分が折れ曲がる特徴を持ちます。
ちなみに選択画面には三つの項目があり、「BODY」は耐久度、「ACCELERATION」は加速能力、「MAX SPEED」は最高速を意味します。
「BODY」、「ACCELERATION」は以下、三段階に分かれます。
≪BODY≫
・WEAK:最弱。大きなダメージを受けます。
・MEDIUM:普通。
・STRONG:最強。受けるダメージも少ない。
≪ACCELERATION≫
・SLOW:ゆっくり加速(高速重視)。
・MEDIUM:普通。
・FAST:すばやく加速(加速重視)。
ゲーム開始時より四つのゲームモードが選べます。
◇SPEED TRAX(スピードトラックス)
四つのサーキットを走り、ライバルと順位を争いつつ、そのトータルタイムを競い合う本作のメインモードです。「ノービス」、「エキスパート」、「マスター」の三つのクラスがあります。「マスター」は「エキスパート」をクリアした後に選べるようになります。また、トータルタイムはベスト3まで保存されます。
◇STUNT TRAX(スタントトラックス)
四つの専用コースを舞台に、40個のスター獲得を目指すモード。
スターは接触すれば獲得でき、チェックポイントを通過すると破壊時に得られたスコアが制限時間へ加算されます。ゴール到達でクリア。スターは40個全部を取る必要はありませんが、高いスコアを目指すなら狙ってみましょう。
◇BATTLE TRAX(バトルトラックス)
二人対戦モードです。分割された画面で車を操縦し、順位争いをします。
また、サーキットは本モード専用のものとなります。
◇TEST RUN(テストラン) / FREE TRAX(フリートラックス)
サーキットを一車で自由に走るモードです。
ゲーム開始時点では「テストラン」と呼ばれる練習モードとなります。
「スピードトラックス」のいずれかのクラスをクリアしますと、「テストラン」から「フリートラックス」へとモードの名称が変更されます。
基本的に三周すればゴールとなります。ただ「スピードトラックス」の場合、右上に表示された「カウントタイマー」と呼ばれる制限時間に注意です。
これがゼロになるとタイムアップになって失格、残機が一つ減ってしまいます。
タイマーはサーキット上の「チェックポイント」、スタート兼ゴール地点を通過する(一周する)と加算されます(※秒数はサーキットによって異なります)。なので、サーキットを走る時はそれら二つへの時間内の到達を目指し、進めていく形です。
特に「エキスパート」以降のクラスは、タイムロスを誘発するカーブなどが多数登場しますので、多少減速してでも安全運転で走行していくことが重要です。車も時間を多くキープして走りたい場合は、最速の「F-TYPE」がよいでしょう。
ちなみに「スピードトラックス」では、ゴールした時に残った「カウントタイマー」が「エキストラタイム」として、次のサーキットの「カウントタイマー」へと引き継がれます(加算されます)。多いほど余裕を持って走れますので、自信があれば最速ゴールを目指してみましょう。
また、車には耐久力があり、受けたダメージが画面下の「ダメージメーター」にピンク色で表示されます。これが満タンになりますとクラッシュとなり失格。残機が減ります。回復はサーキット上に置かれている「赤い宝石」を取ることで行えます。
なお、サーキットアウト時も失格(SPLASH)となります。
他に「スピードトラックス」では三位以内でゴールできなかった場合も失格です。
上位入賞を目指して頑張りましょう。
本作プレイ時に覚えておくと得するネタの紹介です。(※一部は本作の説明書、任天堂公式ガイドブックより引用する形でご紹介します。)
◇ライバルカーの設定
「スピードトラックス」では、一緒に走る三台のライバルを好きなように選べます。
やり方は車を選択した後の名前入力画面、もしくは車選択の画面でセレクトボタンを押すと、
以上のような画面になり、ライバルが選べるようになります。
コントロールスティック及び十字キーの上下で車種選択、左右で枠移動です。
◇ボタンリセット
レース中にLボタン、Rボタン、スタート、セレクトボタンを同時に押しますと、ゲームリセットが行えます。
◇名前入力後のキャンセル
決定してしまいますと、ゲームモード選択画面に戻れなくなります。
その場合はリセットを実施しましょう。
◇悪路突破時におすすめの「OK持ち」
悪路(ぬかるみ、水たまりなど)では速度が大きく落ちます。なるべくスピードを維持して進みたい時は、ブーストとジャンプの活用が重要です。
この時におすすめなのがコントローラの「OK持ち」。
BボタンとYボタンを親指で同時に押し、Xボタンを人差し指で押すという「OKサイン」の形でコントローラ右側を持つというものになります。
少し難しいですが、慣れるとスムーズにブーストとジャンプを併用できるようになります。お試しあれ。
◇「ダウンフォース」の獲得
「ダウンフォース」とは、車が地面に押さえつけられている向きに乗じて発生する力のことです。先の通り、スティック及び十字キーを上に倒す(押しっぱなしにする)と車体を傾けられます。
この状態にしておきますと強めのダウンフォースが得られ、加速が増します。
特にスタート時、この操作を心がけるとスムーズに走り出せます。ですが、ブーストも重ねると車によってウィリー状態になって失速し、タイムロスに繋がりますので要注意です。
◇「アウトインアウト」と「スロウインファスト」
本作のサーキットにおけるカーブ地点はこれらの二つの特徴を持っています。
「アウトインアウト」は直角に近いラインで走行すること、「スロウインファスト」はカーブにゆっくりと入って、素早く出るというものです。大きなカーブ、直角カーブの二種類に対しては、これらの走り方を心がければ、カーブのフェンスに衝突したり、サーキットアウトしてしまうなどの被害を抑え込めます。
◇いざという時には「巻き戻し」と「どこでもセーブ」
率直に言いまして、本作の難易度は高めです。特に「スピードトラックス」は、「エキスパート」以降、入り組んだサーキットが登場するようになり、一気に跳ね上がります。
もし「1位が取れない!」、「どうしても時間切れになってしまう!」という場合は、今回の『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』特有の「巻き戻し(ZLボタン+ZRボタン長押し)」と「どこでもセーブ(ZLボタン+ZRボタンの中断メニュー内)」の機能を活用しましょう。全モードの「2WD」解禁を急ぎたい時は迷わず、です。あえて真剣勝負に挑むのも一興ですが、心が折れそうになった時は迷わずぜひ。
勝てばよかろう、なのですよ。
◇ゲーム本体のセーブデータを消す方法
タイトル画面で上、左、下、右、X、Y、B、Aボタンを順番に押します。すると「CLEAR ALL RECORDS?」と表示されますので、YESを選んでBボタンを押し、その後の「ARE YOU SHURE?」で再びYESを選んでBボタンを押せば、データが消去されます。
最後に本作の「スピードトラックス」、「フリートラックス」で遊べる全12サーキットのタイムレコードをご紹介します。この記録は1994年に発売された任天堂公式ガイドブックに記載されたもので、そこからの引用となります。
腕に自信のある方はぜひ、挑戦してみてください。
≪最速タイム(※使用車:2WD)≫
◇ノービスクラス
・EASY RIDE:1分22秒95
・AQUA TUNNEL:1分53秒80
・SUNSET VALLEY:1分52秒89
・NIGHT OWL:2分24秒14
◇エキスパートクラス
・KING'S FOREST:1分56秒93
・SEA BREEZE:1分44秒95
・WHITE LAND:2分09秒78
・NIGHT CRUISE:2分10秒31
◇マスタークラス
・LAKE SIDE:2分00秒21
・BIG RAVINE:2分57秒48
・SKY RAMP:2分52秒88
・HARBOR CITY:2分53秒71
≪目標タイム(※2WD以外:三車種別)≫
◇ノービスクラス
■EASY RIDE
・4WD:1分40秒93
・COUPE:1分36秒91
・F-TYPE:1分31秒61
■AQUA TUNNEL
・4WD:2分11秒11
・COUPE:2分06秒36
・F-TYPE:2分05秒50
■SUNSET VALLEY
・4WD:2分10秒49
・COUPE:2分04秒56
・F-TYPE:1分59秒57
■NIGHT OWL
・4WD:2分49秒18
・COUPE:2分35秒55
・F-TYPE:2分33秒46
◇エキスパートクラス
■KING'S FOREST
・4WD:2分15秒89
・COUPE:2分07秒43
・F-TYPE:2分07秒36
■SEA BREEZE
・4WD:1分52秒67
・COUPE:1分51秒36
・F-TYPE:1分54秒78
■WHITE LAND
・4WD:2分28秒63
・COUPE:2分32秒07
・F-TYPE:2分26秒94
■NIGHT CRUISE
・4WD:2分37秒30
・COUPE:2分25秒61
・F-TYPE:2分27秒92
◇マスタークラス
■LAKE SIDE
・4WD:2分16秒33
・COUPE:2分14秒26
・F-TYPE:2分14秒27
■BIG RAVINE
・4WD:3分48秒63
・COUPE:3分12秒50
・F-TYPE:3分16秒50
■SKY RAMP
・4WD:3分17秒97
・COUPE:3分06秒93
・F-TYPE:3分17秒97
■HARBOR CITY
・4WD:3分14秒41
・COUPE:3分06秒89
・F-TYPE:3分08秒20
【ゲーム情報】
タイトル:『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』
発売元・開発元:任天堂
対応ハード:Nintendo Switch
価格:無料(※Nintendo Switch Online加入者限定特典)
関連リンク:
■『ワイルドトラックス』任天堂公式サイト(スーパーファミコン版紹介ページ)