はじめまして! このたび連載記事『見逃した新作アニメをイッキ見しよう!』を担当させていただく「小林白菜(こばやし はくさい)」と申します。
現在放送中の新作TVアニメは、この夏に始まったものだけで50本以上。以前から放送が続いているものも合わせれば70本、80本……僕も正確には把握できていません。よほど時間が有り余っていなければ、ひとりで全てチェックすることは不可能。「あのアニメ、そんなに面白いの!? 観ておけばよかった!」なんて後悔は日常茶飯事です。
しかし今は動画配信サービスの充実のおかげで、見逃してしまった作品を観るためにDVDレンタルが始まるまで待つ必要はなくなりました。思い立ったその瞬間から気になる作品を最新話まで「イッキ見」することができるのです。
この連載では、あなたが見逃しているかもしれない新作アニメの中からぜひ観ていただきたい作品を厳選、作品の魅力や「ここに着目すればこのアニメはより一層楽しめる!」というポイント、そしてイッキ見する方法を、紹介していこうと思います。あなたのアニメライフをより充実したものにする、手助けとなれば幸いです。
1回目の今回ご紹介するのは『はねバド!』。濱田浩輔のコミック(『good!アフタヌーン(講談社刊))を原作としたアニメで、バドミントンに青春をかけた女子高生たちの物語です。
■才能と努力、勝利と敗北……熱きバドミントンプレイヤーたちのドラマ!
物語は、北小町高校バドミントン部の活動に暗雲が立ち込めたところから始まります。バド部の主将、荒垣なぎさ(CV:島袋美由利)は、半年前に開催された大会で中学生の少女に1ポイントも取れず負けて以降、勝つための厳しい練習を他の部員たちにも強要するようになってしまいます。この方針に不満を覚えた部員たちは続々退部していき、一方でそれまでの努力を全て否定されたような惨敗の記憶に苦しみ続けるなぎさ。
そんな中、なぎさはテニス部のコートである1年生を見かけます。その1年生は、なぎさに圧勝しトラウマを植え付けた少女その人だったのです。少女の名は羽咲綾乃(CV:大和田仁美)。その後、新たにバド部のコーチに就任した立花健太郎(CV:岡本信彦)のスカウトを受け、綾乃はバド部への入部を賭けてなぎさとバドミントンで勝負することに……というのが第1話のあらすじ。
この第1話で特に強く印象に残るのは、アバンタイトルで描かれる臨場感に満ちた試合描写でしょう。なぎさが綾乃に惨敗したときの試合なので悲壮感の漂う演出が成されていますが、そんな中でもラケットを振るうふたりの躍動する肉体や、小気味良いカット割り、シューズがコートを擦りラケットがシャトルを叩く音。これらは目や耳に心地よさを残すものとなっています。
本作の試合シーンは実際のバドミントンプレイヤーのプレーをトレースして作画を行う、「ロトスコープ」というアニメーション技術が採用されていて、肉体の動きは極めて現実に近いものとなっています。そこに現実の音よりアニメ映えするよう加工を施した各種効果音や、躍動感を生む絵コンテ、スローモーションやシャトルが風を切るエフェクトなどアニメならではの工夫も随所に投入することで、本作にしか描けない、臨場感とケレン味を両立した試合描写を実現しているのです。
ですが、スポーツを題材にした作品では選手たちの「勝ちたい理由」、すなわち「勝負の動機づけ」が心を打つものでなければどんなに映像が素晴らしくても手に汗握るドラマは生まれません。『はねバド!』はこの点も魅力的に描かれています。
なぎさは綾乃という圧倒的な才能を持つプレイヤーにぶつかったことで、バドミントンで努力し続ける理由を揺るがされますが、コーチや仲間の言葉を通して新たな理由を見つけていきます。
一方、綾乃の母親・羽咲有千夏(CV:大原さやか)はバドミントンの元スーパープレイヤー。綾乃にとってバドミントンは母親と心を通わせる手段でしたが、彼女が姿を消したことで続ける理由を失っています。バド部に入り、仲間ができることで改めてバドミントンと向き合う綾乃ですが、彼女にとって試合に勝って母親に褒めてもらうことだけが全てだったバドミントンへの姿勢は、他の選手と比べてどこか歪。それは言い換えれば勝って当たり前という世界で戦い続けた綾乃の、「天才ゆえの孤独」と言えるかもしれません。
才能を持った者たちと共に過ごしながら、自分なりの戦い方、ひいては生き方を見出していく北小町高校バド部の面々。綾乃の才能に立ち向かい続けるライバル校所属の芹ヶ谷薫子(CV:下田麻美)や、綾乃の母が育てたもうひとりの天才少女、コニー・クリステンセン(CV:伊瀬茉莉也)などの魅力的なライバル。彼女たちの絡み合う因縁と共に描かれる才能と努力、勝利と敗北に彩られたドラマは、1度でも勝負の世界に身を置いた者ならばきっと感情移入できるキャラクターが見つかることでしょう。
負けたくない彼女たちのプライドと、負けたからこそ見つかる「バドミントンを続ける理由」。ひとつの勝負が終わるたび、才能の有無に関係なく、本作の登場人物に存在する必要のない者などひとりもいないことに気付かされるのです。
■原作コミックに大幅なアレンジが加えられたアニメ版
実はアニメ版『はねバド!』は、原作コミックを大胆に換骨奪胎し、各エピソードの「順番」と「意味合い」を組み替えることで、キャラクター間に網目のように張り巡らされた数々の因縁が、早い段階で明らかになる構成となっています。これは最初の1~3話で視聴者を引きつけ、限られた話数でおはなしを纏める必要がある、TVアニメ化における最適解を模索した結果であると思われますが、綾乃やなぎさの感情の機微にも全く違和感がありません。試みは大いに成功しているように感じられます。
また原作序盤では合間合間に挟まれていたコメディー要素を抑え、シリアスで張り詰めた空気感が続く作風へとアレンジされているのも特徴。このアレンジは鬼気迫る試合が増え、徐々に作風が変化する原作4~6巻のテイストに合わせ、逆算して制作された結果なのでしょう。賛否両論あるかもしれませんが、前述した映像のクオリティが、重たいドラマからも目を逸らせない程のパワーを作品に与えています。こだわりの制作技法によるアニメーションの品質が、少女たちの情念渦巻くドラマへの没入を見事に支えているのです。
余談ですが、この大胆アレンジは結果的に、ビーチバレーを題材にした今期もうひとつの「スポーツ女子モノ」アニメである『はるかなレシーブ』の、王道スポーツものながらゆるふわな作風との差別化にも繋がっています。それぞれ甲乙つけがたい素晴らしいアニメですが、辛味と苦味の効いたテイストがお好みであれば、きっと『はねバド!』がお口に合うかと思います。
大きな差異がありながら、本質を違えることはなく間違いなく同じ作品であると断言できるコミック版『はねバド!』とアニメ版『はねバド!』。本作はメディアの違いによる強み・弱みについて思考を巡らす切っ掛けとしても最適ではないでしょうか?
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・個人PCで視聴できないサービス
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■筆者おすすめの配信サービス(原稿執筆時点)
ちょうど現在、「GYAO!」では『はねバド!』の全話無料配信を行っています!
8月21日までの期間限定配信となっていますので、本作が気になっている方はお早めのご視聴をおすすめします。
「GYAO! はねバド!」
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期間などを気にせず、好きなときに好きなだけ視聴したい方におすすめしたいのは月額、または年会費を支払うことで見放題になる配信サービス。
もしあなたが「Amazonプライム」の会員なら、プライムビデオでいつでも『はねバド!』がイッキ見できます。新規登録の場合、月々400円の月間プランと3900円の年間プランから選べます。これは他のサービスと比べても破格の安さ。決済方法はクレジットカードの他、docomoとauのスマートフォンをお持ちなら携帯決済も可能です。
また、月額432円で全話視聴できる「dアニメストア」もお得。NTT docomoが運営する配信サービスですが、他社のスマホを使っていてもクレジットカードさえあれば利用ができます。
「Amazonプライム・ビデオ」と「dアニメストア」はどちらも新作アニメのラインナップが豊富で、今後の連載でも何度もご紹介することになる予定です。まだ登録したことがない方は、是非一度体験してみることをおすすめします。あなたのアニメの視聴環境が激変しますよ。(注:PR記事ではありません!)
1話ごとに購入するタイプの配信サービスもあります。『はねバド!』はどのサービスでも1話216円で購入が可能。ただこの方式の場合、全話購入すると最終的に高く付く場合がほとんど。「普段テレビで観てるけど1話だけ見逃してしまった」といった場合に、他に視聴手段がないとき活用するのがよいかと思います。
■今回のイッキ見!まとめ
いかがだったでしょうか?
『はねバド!』はスポーツもののアニメが好きな人のみならず、アクション作画の最先端を知りたいアニメファン、コミックとアニメなどメディアの違いについて思考を巡らせてみたい方、さらには青春が好きな方、女の子が頑張っている姿が好きな方など、多くの方におすすめできる作品です。
きっと第1話のアバンから目を奪われるかと思うので、そこで気に入ったら是非「イッキ見」してみてくださいね。
それではまた近々、別の作品をおすすめさせていただきます。
ごきげんよう!!
■今回紹介したアニメ
『はねバド!』
2018年7月1日より毎週日曜放映中!!
放映時間は公式サイトをご確認ください。
公式サイト
http://hanebad.com/
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会