その姿は唐突に目の前に現れました。クワガタがいそうな場所を巡り、ときにスズメバチに追われながら山の中をさ迷い歩いていた中年男の目に緑に光り輝くタマムシの存在はあまりにもまばゆく、思わず手を伸ばすと・・・。
飛んで逃げられました(笑)。
この虫の名はヤマトタマムシ。コウチュウ目タマムシ上科に属する昆虫です。目にしたのは多分20数年ぶりかなあ・・・。枯れ木の上にたたずむ姿は本当に美しかった・・・。
それはさておき。前回でうちのノコギリクワガタに嫁さんを探してやろうと決心したのはいいものの、自分で虫を探すのは実に30数年ぶり。子供のころに駆けまわった林はとうに宅地化されてあとかたもありません。とはいえ家の目の前にクワガタムシが飛んできている以上、どこか近くに生息地があるのは間違いありません。
クワガタムシは主にコナラやクヌギの木の樹液を餌にしています。というわけで近所を歩き回って調べ回ったところ・・・。
近所の公園に立派なコナラの木がありました!
また、すぐそばでクヌギの木も見つけました。
さらに数本のコナラの木を見つけたので数日の間、早朝に見に行っていたのですがさっぱり見つかりません。いや、正確にはカブトムシの死骸、頭や角の一部だけが見つかるような状況でした。なんでだろうと調べたところ、どうやらカラスに食べられてしまっていたようです。
ある日の早朝、ここは期待できないかなあと考えながら帰路についたとき不意に、
「虫捕ってるの?」
と、年配の男性に呼び止められました。「いや、ぜんぜんダメなんですよ」と答えたところ・・・。
「じゃあ、XXX神社の森に行きな、あそこはたくさんいるから」
と、超重要情報を教えていただくことができました! 夏なのに長袖着てカメラと虫かごと虫網持った怪しげな中年に話しかけていただき、ありがとうございました!
よく通報されなかったなというのが本音ですが(笑)。はたから見たら自分めちゃくちゃ怪しい人ですからね(笑)。
そこでその日の午後、神社の森に下見に出かけました。クワガタムシは夜や早朝に捕るのがセオリーですが、視界が効かない状態で初めての森に分け入るのは怖いものです。足場の悪い場所や、樹液が出ている木などは前もって確認しておくことにしました。
するとありましたありました。樹液がたっぷり出ている木を発見です!これは期待できそうなのでしっかりと場所を記憶します。
こちらもいい感じです! 餌場を2か所チェックできたので軽く一回りしてから、夜に備えて引き上げよう・・・。そう思った時でした。
突然、緑に輝くタマムシが目の前に姿を現したのです。慌てて写真を撮りましたが、ささくれた朽木の上に鎮座するタマムシの姿はまさに自然界が作り出した芸術品。しばしその姿を堪能させていただきました。
この森はどうやら当たりのようです。さあ、夜に行ったら何がいるかな?
文・写真 早川清一朗
【STARTT’s POV ~スタート視点~】
タマムシとは、またまたレアな昆虫に遭遇しましたね! 昔はそこらの公園でも出会えるような昆虫でしたが、最近はなかなか見かけなくなりましたからね・・・。
さて、ようやく樹液場を発見した早川氏。この後、無事にクワちゃんのお嫁さんを発見できるのでしょうか。ワクワクしますね。
でも、クワガタとかタマムシとかゴージャス(?)な昆虫だけではなく、カブクワ探してると必ず目にするキマワリにも注目して欲しいの・・・。人間にとって益もなく害もなく、見た目は地味でユニークな生態もなく、「木の周り回ってそうだから“キマワリ”」という安直な和名を付けられた昆虫だけど、キマワリだって生きているんだ! 友達な~んだ~♬(編)
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