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【連載】遊び逃している名作ゲームはありませんか?『Iconoclasts(アイコノクラスツ)』 緻密なグラフィックとギミックの面白さが冴え渡る探索型アクションゲーム / ゴールデンゲームハンマー第10回

本連載の第3回にてピックアップした『シャンティ -海賊の呪い- for Nintendo Switch』。同作はアクションアドベンチャーとしての優れた完成度もさることながら、芸術的なドット絵で彩られたグラフィックも魅力の一つとしている。


そのグラフィックを担当したデザイナースタッフの一人に、Joakim Sandberg(ヨアキム・サンドバーグ)なる人物が名を連ねている。


同氏は「konjak」の名で、インディーゲーム開発者としても活動しているクリエイター。2000年代後半より、持ち味である緻密なドット絵で描写されたアクションゲームを複数制作してきた。いずれも日本語版は発売されなかったが、主にコアなプレイヤーの間では、90年代に数々のヒット作を世に送り出したゲーム会社・トレジャー(代表作:『ガンスターヒーローズ』、『斑鳩 IKARUGA』など多数)を思い起こすアクションゲームを作るクリエイターとして、注目の的になった。



そんな氏が7年の歳月を費やして制作し、初の日本語版も発売されるに至った新作が、今回ピックアップする『Iconoclasts(アイコノクラスツ)』。2018年1月23日にPlayStation 4、PlayStaiton Vita、PC(Windows、Mac、Linux)に発売された探索型アクションゲームだ。同年8月2日にはNintendo Switch版も発売。販売はいずれも「DANGEN Entertainment」が担当。


◆レンチで道を切り開く、パズル要素強めの探索型アクションゲーム


聖母「マザー」なる女性が統率する巨大組織「ワン・コンサーン」により、「アイボリー」なる資源の独占管理と圧政が敷かれた世界。メカニックの少女「ロビン」は、亡き父の後を継ぐかのように、人助けをしたい純粋な思いから機械修理の活動を続けていた。だが、この世界では女神の法により正規の資格なしの機械修理が禁じられており、無許可による個人活動は重罪と見なされていた。



やがて彼女はワン・コンサーンに罪人とされ、マザー直属の「エージェント」に追われる身になる。自らの意志を貫くべく、ロビンは逃避行を決心するが、次第に彼女はアイボリー不足による惑星崩壊の危機とそれを巡る争いに巻き込まれていくことになる…。


スケールの大きな世界観とあらすじだが、基本の内容は仕掛け満載のマップを探索し、敵と戦いながらストーリーを進めていく探索型アクションゲーム。身も蓋もなく言えば、本連載第3回でご紹介したシャンティと同系統のゲームだ。とは言え、その仕組みはまるで異なる。



ひとつめはゲームの流れ。ストーリーに沿って、様々なエリアを行き来し、目的地への到達やボスとの戦闘などをこなしながら進む。探索型というと、広大なエリア(マップ)を進んで道を開拓していくのがお約束だが、本作はストーリーの流れに沿って進む構成で、行動の自由度は低めになっている。一応、中盤になると、前に踏破したエリアに戻れるようになる"装置"が解禁されるが、その後も基本はストーリーに沿ってゲームが進む。要はステージクリア型に近い遊び心地になっている。


ふたつめは、主人公ロビンのアクション。標準装備の「スタンガン」と呼ばれる武器は遠距離攻撃型で、敵との戦闘は距離を取りながら撃ってダメージを与えていくシューティングスタイルになっている。また、サブの武器として「レンチ」を装備。対応するボタンを押すと上方からから下方に振り、押しっぱなしにするとその場で振り回す。敵にダメージを与えられるが、基本的にこの武器は仕掛けを動かすのに用いる。



最後の3つめが、マップの構造。本作はパズル(謎解き)要素強めの作りになっている。衝撃を与えると可動する足場を動かし、先にあるスイッチを押したり、ブロックを持ち運んで高い足場に届く踏み台にする、「ナット」と呼ばれるねじれる装置では、先に紹介したサブ武器レンチをはめて、ナットを締めて動かすなどなど……頭を使って道を切り開く場面が多く用意されているのだ。



また、ゲームが進むとレンチがパワーアップしたり、新たな武器が手に入る。それと同時に習得される新アクションを駆使したパズル、謎解きも「待ってました」と言わんばかりに登場して、より入り組んだ展開が繰り広げられるようになる。



時にはボスとの戦いでも、ダメージを与えるためにパズルを解く手順を踏むことも。


このように基本は探索型アクションの王道に則っているが、パズルと謎解きにフォーカスした、さながら"探索型パズルアクション"が正式名称とも言える、個性的な作りになっている。


ストーリー性も強めで、本編では次々と舞台が変わり、アクションゲームには珍しく情報量の多い会話シーンが挿入される。「女神の法」や「聖罰」など宗教的な専門用語も多く、その世界観に凝った会話シーンは、ロールプレイングゲーム(RPG)を想起させる。そのため、ゲームはもちろんストーリー展開を重視するプレイヤーにもおすすめできる個性を持っている。


◆本作の魅力:アクション、ストーリー共に息つく暇なし!


◇豊富なパズル、イベント盛り沢山の起伏に富んだ構成

黙々と広いマップを行き来し、道を見つけていく展開に終始せず、パズルが度々挟まっては、プレイヤーの思考力を試してくるよう全体が構成されているので、プレイヤーを飽きさせない。難易度も手持ちの装備、仕掛けの特徴を理解すれば、すぐに解法を導き出せる適度な難易度のバランスが心地良い。もちろん、なかには複雑な手順を要するものもあるが、大抵は本編と関係ないやり込み要素として位置付けられているので、無視しても害無しの良心的な区分けが図られている。



また、探索型と言えば、次に進むべき道が分からなくなって迷い、無駄な時間を取られることに抵抗を示す人も少なくないかもしれない。だが、本作はストーリー性が強め。序盤はそれに流されるがままにゲームが進むので、色んなエリアを巡っていける。舞台となる場所も緑豊かな田舎なから、干からびた砂漠、海底の集落、研究所、神殿、はたまたロケット発射台など盛り沢山。


ストーリーの流れに応じ、捕まった仲間を助けるために丸腰の状態で敵の基地を探索したり、時にはロビン以外の仲間のキャラクターを動かし、特殊なアクションステージに挑んだりなど、ゲームシステムなどが一変するイベントも多数用意されている。特に仲間キャラクターを操作する展開は、それぞれアクション、操作感もちゃんと別物という、驚きの作り込みが施された仕上がり。彼らを操作して戦う"専用のボスキャラ"が複数体もいることからも、その凝りっぷりがわかるはずだ。


◇手に汗握り、時に頭も刺激する大迫力のボス戦

ボス戦も、まさに"手に汗握る"を体現した内容。
しかも、総勢20体以上に渡る個性豊かなボスキャラがプレイヤーの前に立ちはだかる。



作者は、『ガンスターヒーローズ』などで知られるゲーム開発会社「トレジャー」を思い起こすアクションゲームを作ることに定評があると本記事冒頭で紹介したが、本作でもその持ち味は発揮されており、躍動感あふれる動き、仰々しい爆音(攻撃)を鳴り響かせながらプレイヤーに襲いかかってくる。特に巨大ボスのダイナミックな動きは、トレジャー作品を知るプレイヤーならば「まさしく!」と心の中で叫びたくなるほど、唸ってしまうこと請け合いだ。


もちろん、倒せば大・爆・発ッ!
この時の演出もとっても仰々しいので必見だ。
きっと「スカッ!」とすること間違いナシ。


◇宗教、信仰などの複雑な題材を取り入れたストーリー

本作のゲームプレイ中の模様を映したスクリーンショットを見れば、明るく楽しそうな世界観をイメージするかもしれない。しかし、実のところは重め。「信仰と自由」を題材にした、シリアスな作風になっている。




展開も二転三転の連続。最初は逃避行だったのが、エネルギー枯渇による惑星崩壊の危機、巨大組織の派閥争い、その裏に隠された禁忌の暴露という穏やかならざる事態になっていく。一連の流れを通し、ロビンにも仲間ができていくのだが、彼らも様々な問題を抱えており、それが元で仲違いに至る場面も。ロビンをつけ狙う「エージェント」も派閥争いに巻き込まれ、暴走する一幕があるなど、敵側も一枚岩でないことを察する動きを見せたりと、ひとくちに勧善懲悪と言い切れない複雑なキャラクター描写になっている。



正直、宗教や哲学に基づいた言い回しが多いので、読み解くのには少々根気がいる。だが、次から次へと目まぐるしく状況が変わっていく過程は思わず見入ってしまう訴求力があり、特に終盤はドラマティックな演出と熱い場面の連続から、とても盛り上がる。最終的に訪れる結末も思いもしないもので、嫌でも印象に残ってしまうはず。"RPGを想起させる"と先ほど書いたが、プレイすれば、それが決して大げさな表現ではないことがわかっていただけるはずだ。


◇鮮やかな色使いが光るドット絵

素晴らしいドット絵を魅力とするシャンティに携わった人物の作品だけに、本作も負けず劣らずの美しさ。単に懐かしいだけでなく、光の表現も盛り込むなど、今風のグラフィックとして描写されている点も必見だ。


ちなみに筆者イチオシは巨大ボス達のドット絵。
これだけでもご飯二杯は余裕でいける。(※誇張表現です)


◆アクションからストーリーまで"濃い"仕上がりの傑作


ボリュームも初プレイ時なら10時間は余裕で越える程度に盛り沢山。探索型アクションゲーム定番のやり込み要素「タイムアタック」も健在なほか、隠された素材アイテム(宝箱)の回収、本編とは関係しない隠しボス討伐などの寄り道もあって、極め甲斐は抜群。



難易度もNintendo Switch版の発売に合わせ、実質、ゲームオーバーが存在しない(ロビンがほぼ無敵状態になる)「リラックスモード」が導入され、アクションゲームに苦手意識のあるプレイヤーにも門戸を開いている。もちろん、上級者向け難易度も完備。そちらでは、作者の本気とも言えるキツい展開を堪能できる。
また、先のアップデートでは他に「ボスラッシュ」も導入。クリア後に遊べるものだが、本編で特に盛り上がるボス戦を集中的に遊びたいプレイヤーには、色々とたまらない内容で、そのような欲求に応える措置も施されている。



制作に7年の歳月を費やしているだけに、高い完成度を誇る本作。"迷いやすいこと"が人によって抵抗を感じやすい探索型アクションゲームとしても、強いストーリー性と個性豊かなパズルによって、退屈することなく最後まで楽しめる内容になっている。この見た目に反してストーリーは重厚でシリアス、また身体欠損、出血などの暴力表現も苛烈なので、苦手な人は注意が必要だが、探索型アクションゲーム好きはもちろんのこと、同ジャンルに苦手意識のあるプレイヤーにもおすすめできる傑作だ。メカニックの少女と共に、この仕掛け盛り沢山、ボスもいっぱいな楽しくも壮大な冒険を体験してみよう。


ちなみに(なぜか)公式には告げられていないが、PlayStation 4とPlayStation Vita版はクロスバイ方式が採用されていて、一方の機種版を購入すれば、自動的にもうひとつの機種版が無料で付いてくる。ただし、両方のセーブデータを共有するクロスセーブ機能には残念ながら対応していない点にご注意を。とはいえ、据え置き機と携帯機で揃えたいとお思いの方にはオススメです。



【ゲーム情報】

タイトル:『Iconoclasts(アイコノクラスツ)』

発売元・開発元:DANGEN Entertainment / Joakim ‘konjak’ Sandberg / Bifrost Entertainment

対応ハード:PlayStation 4、PlayStation Vita、PC(Windows、Mac、Linux)、Nintendo Switch

ジャンル:アクション

価格:2160円[税込](PlayStation 4 / PlayStation Vita / Nintendo Switch版) / 2000円[税込](PC版)

関連リンク:

■DANGEN Entertainment:公式サイト

■商品&購入ページ:PlayStation 4版(PlayStation Store内)

■商品&購入ページ:PlayStation Vita版(PlayStation Store内)

■マイニンテンドーストア:商品&購入ページ(Nintendo Switch)



2019-07-04 20:00
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この記事のURL
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