ついに本日最終回を迎える『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』(キンプリSSS)。『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』、そしてこの「キンプリSSS」という一連の「キンプリ」シリーズに魅せられた方は、きっともうスピンオフ元である『プリティーリズム・レインボーライブ』(プリリズRL)の履修はお済みかと思います。
■『プリティーリズム・レインボーライブ』の魅力を紹介する記事はこちら
それではキンプリから「プリティーシリーズ」の世界に足を踏み入れた方に、筆者が『プリリズRL』の次に観ていただきたい作品は何か? 『プリパラ』も未見ならばぜひ観ていただきたいアニメです。菱田正和監督が手掛ける2019年夏アニメ『あんさんぶるスターズ!』もきっと素晴らしいアニメになることでしょう。しかし1作だけ挙げるとしたら、TVアニメとしての「プリティーシリーズ」の1作目、“煌めき”の原点である『プリティーリズム・オーロラドリーム』を強く推したいと思います。
というわけで今回は『プリティーリズム・オーロラドリーム』の魅力を、なぜキンプリエリートに強くおすすめなのかも含めてご紹介していこうと思います。
「憧れのプリズムクイーンを目指し、ダンスと歌とおしゃれ、それにちょっとのLOVEをMIXした、ハッピーでラッキーなガールズストーリー」、それが『プリティーリズム・オーロラドリーム』(プリリズAD)です。
物語の舞台は『プリリズRL』やキンプリとはまた別の世界。この世界でも歌、ダンス、プリズムジャンプを組み合わせたエンターテイメントショー「プリズムショー」は世間で大いに盛り上がりを見せています。主人公はドジで鈍くさい中学生の女の子“春音あいら”(CV:阿澄佳奈)。運動は大の苦手、世間の流行りに疎くプリズムショーの存在すら知らなかった彼女ですが、ファッションへの情熱は人一倍強く、同い年のカリスマモデル“高峰みおん”(CV:榎あづさ※)に並々ならぬ憧れを抱いています。※当時の芸名は片岡あづさ
ある日、「プリズムストーン」というアパレルショップを見つけたあいら。ショーウィンドウにあった魅力的な衣装に見惚れ、その衣装を着た自分を妄想していると、走ってきた女の子とぶつかりそうになってしまいます。女の子の名前は“天宮りずむ”(CV:原紗友里)。りずむはどうやらプリズムショーに対してとても強い想いを抱いている様子です。あいらとりずむ、ふたりの出会いで物語は始まり、のちに高峰みおんが加わることで、熱き友情のドラマは加速し始めます。
続編の『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』(プリリズDMF)は本作の世界の3年後が舞台。こちらではあいら、りずむ、みおんの3人は、新たな主人公“上葉みあ”たちの憧れの存在として、そして『プリリズAD』から続く因縁に巻き込まれながらも抗う者として活躍することとなります。
プリズムショーに強い想いを抱いているりずむですが、実際にショーを行って観客の心を掴むジャンプを先に飛んだのは運動オンチなあいらでした。あいらはおしゃれが大好きで「服の声が聞こえる」女の子。自分がまとった衣装が、どんなことをすれば魅力的に見えるか理解しているから、ショーでも本来の能力を越えた演技を披露することができたのです。
プリリズシリーズには作品の垣根を越えて登場する「プリズムショーは心の煌めき、プリズムジャンプは心の飛躍」という言葉があります。あいらは「服への想い」によって心を煌めかせ、素晴らしいジャンプが飛べた一方で、ただ「プリズムジャンプが飛びたい」という想いだけでショーに臨んだりずむは心を煌めかせることができませんでした。
しかしそんなりずむもあいらに出会って彼女の「好き」に触れることで心が煌めくショーとは何かに気づいていきます。第1話では野暮ったいジャージを着ていたりずむがあいらのコーディネートによって自分に似合う服を着るようになるのが象徴的です。そしてあいらも、りずむに出会うことで自分の夢を実現するために行動を起こす勇気を身に付けていくのです。
「おしゃれはなりたい自分になるための第1歩」というのはほかの女の子向け作品やアイドルものの作品でもよく登場するテーマですが、この要素がシリーズで繰り返し描かれてきた「少女たちの心の解放」に最も密接に関わってくるのが『オーロラドリーム』の大きな特徴といえるでしょう。
のちにあいら、りずむたちと出会うことになるカリスマモデルのみおんは、プライドが高くてわがままな女の子。けれど次第にみおんもふたりに惹かれて変わっていきます(『レインボーライブ』で蓮城寺べるの虜になった方にイチオシのキャラクターです)。そして3人は「MARs(マーズ)」というユニットを結成するのです。
『オーロラドリーム』で全51話を通して一貫して描かれるのは伝説のプリズムジャンプ「オーロラライジング」を巡るドラマ。『レインボーライブ』とキンプリの視聴者にとっては天羽ジュネや如月ルヰなど“プリズムの使者”が飛んでいたジャンプとして印象に残っていることと思います。『オーロラドリーム』の世界ではこのジャンプが、半端な技術と覚悟で飛んではいけない、高峰みおん曰く「失敗して選手生命を絶たれた人」や「記憶を失くした人もいる」極めて危険なジャンプとされているのです。
オーロラライジングをどうしても飛びたいとある事情があるりずむ。そんなりずむのために自身もオーロラライジングに挑もうとするあいら。究極のジャンプはオーロラライジングだけじゃないはずと自分だけの新たなジャンプを探し求めるみおん。強い絆で結ばれた3人は、やがて別々の道を歩み始めます。
この3人を中心としたドラマは、彼女たちが恋心を抱く男子たちの存在や、強力なライバル、「プリリズ」シリーズならではの親世代の確執が生んだ呪いなどが複雑に絡み合い、非常に見応えがあります。『レインボーライブ』ほど派手な展開は多くないものの、3人がそれぞれに見つけ出した答えと、それらがもたらす三者三様の「究極のジャンプ」はあなたに深い感動をもたらすことでしょう。
キンプリで一躍有名になった名物プリズムジャンプには、この『オーロラドリーム』を起源に持つものが前述のオーロラライジング以外にも数多く存在しています。例えば「無限ハグ」は元々あいらの想い人である男子プリズムスタァの“ショウ”が繰り出したのが初出ですし、「尻からハチミツ」こと「はちみつキッス」は本来みおんが自分の殻を破った際に編み出した、可愛らしくも彼女の成長が伺える“エモい”ジャンプです。
プリズムジャンプ以外にもキンプリには『オーロラドリーム』を視聴している方だけが気づける共通点や小ネタが満載。パッと思いつくだけでも、
・「Ready Sparking!」の掛け声(元々MARsの3人がショーの前に使っていた掛け声)
・『キンプリSSS』第7話に登場したミオン・アナスタシア(言わずもがな高峰みおんのそっくりさん)
・『キンプリSSS』第7話や第10話に登場した微妙に可愛くないウサギとクマとネコのぬいぐるみや気ぐるみ(あいら・りずむ・みおんのパートナーマスコットが元ネタ)
・プリズムショー協会会長の田中さん(同じ顔の人が登場します)
……などなど多岐にわたります。
また、『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』終盤のとある演出には明確に『オーロラドリーム』にオマージュを捧げたものもあり、こちらは両方の文脈を知っていればそれぞれの感動が倍増することでしょう。もちろんキンプリはストーリーやキャラクターへの理解だけならば(後述する設定への考察を除けば)『レインボーライブ』さえ観ていれば十分です。しかし『オーロラドリーム』も視聴すれば楽しさも感動もさらに1段上の作品になることは間違いありません。
『キンプリSSS』の第10話、第11話で明らかにされた「プリズムワールド」を支配する神々による「プリズムの使者」の真実と、これによって生まれた“シャイン”という脅威。
プリズムワールドの神々は全ての平行世界を管理下に置く存在らしく、彼らが見ていたデータの中には『レインボーライブ』やキンプリとは別の世界であるはずの『オーロラドリーム』の春音あいらや『ディアマイフューチャー』の主人公である上葉みあの名前も明記されていました。また、ここで登場した「そなたプログラム」という単語のそなたは、りずむの母親“神崎そなた”から取ったものであると考えられます。「Pride the Hero」の終盤で登場したプリズムの女神も神崎そなたに酷似した姿をしていました。
シャインについても第11話でプリズムアクセルによって飛んだジャンプは全て『オーロラドリーム』で登場したものとなっています。彼がかつて人間界で生活していたときの仮の名前と思われる“響ワタル”も、『オーロラドリーム』に登場した男子プリズムスタァ2人の名前を掛け合わせたものです。
この辺りまで来ると単なる監督の遊び心なのか、何か常人には予想もつかない意味が込められているのか分かりませんが、「プリズムワールド考察」によってキンプリを骨の髄まで楽しむのであれば、『オーロラドリーム』の視聴は必須であると言えるでしょう。
残念ながら『レインボーライブ』と異なり現時点ではYouTubeなどによる無料配信は行われていない『オーロラドリーム』。本作を視聴するならおすすめはサブスクリプション制の動画配信サービス「dアニメストア」への登録です。
月額432円(初回31日は無料)という配信サービスとしてはかなり安価な金額で利用できる上、『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』や『キラッとプリ☆チャン』など現在放送中の最新作まで含めたほぼ全てのプリティーシリーズ作品が見放題となっています。
もちろん『オーロラドリーム』の続編『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』も見放題! さらに深いプリリズ沼、プリティーシリーズ沼に浸かりたいとき、「dアニメストア」さえあれば事足りるのは非常に便利! ぜひ登録をご検討ください。
ついに最終回まであと数時間となった『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』。この記事を読んだタイミングによってはもうあなたは完結を見届けているかもしれません。まだ発表はありませんが、きっとエーデルローズの煌めきに満ちた7人の少年たち、そしてシャインの恐怖はまた我々の前に姿を現すことでしょう。
しかしキンプリの新作をただ待っているのはもったいない。プリティーシリーズはその多くがキンプリに負けないくらい、愛と感動と過剰さと異常さを併せ持った作品です。もしキンプリシリーズと『プリティーリズム・レインボーライブ』以外の作品をまだ観ていないのなら、まずはアニメシリーズの原点である『プリティーリズム・オーロラドリーム』を観ながら、来るべき新作の発表を共に待ちましょう。
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