ついに公開された『名探偵ピカチュウ』。ライアン・レイノルズさんが声を担当するピカチュウはその独特の質感から「しわしわピカチュウ」なんて呼ばれて公開前から話題を集めていました。しかし大事なのは映画自体が面白いかどうか。ポケモンファンならば原作「ポケットモンスター」を大切に扱った実写化かどうかも重要でしょう。
ということで公開初日に観に行ってきた感想を、お伝えしようと思います! 先に結論を言ってしまうと、大人から子どもまで、多くの方が楽しめる娯楽作に仕上がっていました。日本語吹替版で鑑賞してきたのですが、本日情報解禁された西島秀俊さんが吹き替えたピカチュウもとっても魅力的でしたよ。
かつてポケモンのことが大好きな少年だったティム(ジャスティス・スミス)は、ポケモンに関わる事件の捜査へ向かったきり、家に戻らなかった父親・ハリーとポケモンを、遠ざけるようになってしまった。
それから年月が経ち、大人になったティムのもとにある日、ハリーと同僚だったというヨシダ警部補(渡辺謙)から電話がかかってくる。「お父さんが事故で亡くなった―」。複雑な思いを胸に残したまま、ティムは人間とポケモンが共存する街・ライムシティへと向かう。荷物を整理するため、ハリーの部屋へと向かったティムが出会ったのは、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す、名探偵ピカチュウ(ライアン・レイノルズ)だった。
かつてハリーの相棒だったという名探偵ピカチュウは、事故の衝撃で記憶を失っていたが、一つだけ確信をもっていることがあった……。「ハリーはまだ生きている」。ハリーは何故、姿を消したのか? ライムシティで起こる事件の謎とは? ふたりの新コンビが今、大事件に立ち向かう!
原語版で名探偵ピカチュウの声を務めるライアン・レイノルズさんは『デッドプール』シリーズの主演などで知られる売れっ子。彼が演じるおじさんみたいなピカチュウを、日本語吹替版ではTVドラマ『きのう何食べた?』も好調の西島秀俊さんが吹き替えます。
ほか吹替版のキャストは、主人公のティムが『仮面ライダードライブ』でブレイクした俳優・竹内涼真さん。ティムを演じたジャスティンさんと竹内さんは、ふたりとも子どものころゲームをプレイし、アニメも観ていたくらいポケモンが大好きだったとのこと。ティムに協力する新米女性記者、ルーシー(キャスリン・ニュートン)を吹き替えるのは『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』にも出演した女優・モデルの飯豊まりえさん。渡辺謙さん演じるヨシダ警部補は、もちろん吹き替えも渡辺謙さん自身が担当しています。
『名探偵ピカチュウ』の導入部は、「メインストーリー」と「人間とポケモンが共存する世界であることの説明」というふたつの事柄が段階を踏んで丁寧に描かれていきます。まず特筆したいのは「人間とポケモンが共存する世界」の方。主人公のティムと友人ジャックのやり取りによって、ゲームやアニメと同様、人間がポケモンを“モンスターボール”で捕まえて使役する世界であること、“ポケモントレーナー”という職業があり、ティムがかつてポケモントレーナーに憧れていたことなどが説明されます。これによってポケモンに詳しくない方も自然とこの映画の基礎知識が得られるかと思います。
その後、物語の舞台は父親が住んでいた“ライムシティ”へ。ここはモンスターボールを用いず、人とポケモンとが肩を並べて協力し合うことで発展してきた都市。高層ビルが立ち並び、人が行き交う実写映像に、CGで描かれた多種多様なポケモンたちが違和感なく共存しているビジュアルにはポケモンが好きな方ほど感動を覚えるのではないでしょうか。写実的にアレンジされたポケモンたちの一部はなかなかグロテスク(ベロリンガにはウエッ!となってしまうかも)ですが、動いている様子は「実際に居たらこういう行動を取るかも」と納得できるものばかり。しっかりと「ポケモン愛」を持った方が監修しているものと感じられることでしょう。
ティムはかつてポケモンが大好きでしたが、忙しく働く父親との間に起きた「ある出来事」をきっかけにその想いは薄れ、父親との関係もギクシャクしてしまっています。喋れるピカチュウとの出会いに驚くも、ピカチュウの「事件の真相を調べよう」という提案を最初のうちは拒絶するティム。しかしやがてふたりは互いを信頼し合う堅い絆で結ばれてゆきます。バディものとしての手堅いつくりも本作の魅力。
ふたりを中心としたストーリーは、女性記者のルーシーやライムシティの市長親子、さらに最強のポケモン、ミュウツーを巻き込んで展開されます。いったい誰が黒幕なのか? なぜライムシティではポケモンを凶暴化させる謎のガスが秘密裏に取引されているのか? 物語は2転、3転するサスペンスフルな仕上がり。ポケモン世界だからこそ成り立つファンタジックな伏線も、張り方が丁寧で素直に驚くことができました。もちろんポケモンたちが暴れまわるポケモンバトルの迫力ある映像も至るところで楽しめます。そして迎えるラストには、老若男女問わず、爽やかに感動できることでしょう。
今回は吹替版で鑑賞しましたが、全てのキャスト陣が違和感のない素晴らしい演技を見せてくれていたと思います。特に竹内涼真さんは、内気でポケモンとの交流を拒む序盤から、自ら事件の真相を掴もうと奮闘する後半までのティムのキャラクターの変化を丁寧に表現していました。西島秀俊さんのピカチュウは、ライアン・レイノルズさんの演技と比べるといささか綺麗すぎる気もしますが、これはこれで「イケおじピカチュウ」として大変魅力的に感じられました。林原めぐみさんと三木眞一郎さん、犬山イヌコさんという「ムサシ! コジロウ! ニャースでニャース」な3人が脇を固めているので、誰がどのキャラクターを演じているのか探してみるのも吹替版ならではの楽しみ方ではないでしょうか。
原典をリスペクトしたエンドクレジットには、初代『ポケットモンスター赤・緑』をプレイしていた方は思わず感極まってしまうかも!? ポケモン好きなお子さんも、かつて「ポケットにファンタジー」だった大人も楽しめる良い映画です。もちろんポケモンにあまり興味がない方だってきっと楽しめるはず。GW(ゴールデンウィーク)は映画館で『名探偵ピカチュウ』を観よう!!
・家族で楽しめる映画を探している方
・かつてポケモンが好きだった大人
・いまでもポケモンが大好きな方
・「しわしわピカチュウ」に惹かれてしまった方
・ハラハラドキドキできて笑えて感動できる映画が好きな方
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