『プリキュア』シリーズや『アイカツ！』シリーズ、そして『プリパラ』や『キラッとプリ☆チャン』などの『プリティー』シリーズ。女の子向けのアニメをいくつか好んで鑑賞している筆者ですが、「その中で最も面白いアニメは？」と聴かれたら、確実に挙げる作品のひとつに『プリティーリズム・レインボーライブ』（以下：プリリズRL）があります。

そんな『プリリズRL』が、なんとただいまYouTubeにて無料配信されているのです。現在配信されているのは第1話から第26話までですが、1日に複数話ずつ追加され続けているので、近日中には全話視聴できるようになることでしょう。是非この機会にひとりでも多くの方にこの作品の素晴らしさを味わってもらいたい…！ もしいまこの記事を読んでいる方の中に、本作に少しでも興味を持っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ読み進めていただいて、本作の魅力の一端を知っていただければと思います。

『プリティーリズム・レインボーライブ』第1話はこちら

■『プリティーリズム・レインボーライブ』はこんな位置づけの作品

歌、ダンス、プリズムジャンプを組み合わせたエンターテイメントショー「プリズムショー」に青春を賭けた少女たちのドラマを描くTVアニメ『プリティーリズム』シリーズ。その『プリティーリズム・オーロラドリーム』、『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』に続く3作目となるのが『プリティーリズム・レインボーライブ』です。

「プリズムジャンプ」とはアイススケートのようなジャンプを繰り出すことで、キャラクターの“心の煌めき”が現実に視覚化されるシリーズ独自のパフォーマンスのこと。ハートマークやフルーツをかたどった可愛らしいエフェクトを発生させるものから、自身の分身を発生させるもの、お尻からハチミツを出すもの、電車を生み出して乗り込み空の彼方へ旅立つものなど、その効果は多岐に渡ります。『プリリズRL』では「プリズムジャンプ」に加えてステージで楽器を演奏する「プリズムライブ」という演出が登場し、パフォーマンスがより華やかなものに進化しているのも特筆すべき点。

『プリリズRL』は前2作とは異なる世界を舞台にした物語なので、3作目とはいえここから視聴しても問題はありません。また、2016年の『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、2017年の『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』、そして4月8日(月)より放送がスタートする『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』の「キンプリ」シリーズへと続く物語でもあるのです。

『プリリズRL』は中学生の女の子たちが主人公ですが、「キンプリ」では彼女たちと苦楽を共にした男子キャラクターたちと、その後輩男子たちの物語が紡がれます。単体で視聴しても抜群に面白い「キンプリ」シリーズですが、『プリリズRL』を視聴したあとで観ると全く異なった感慨を受けることになるでしょう。

なお本作の『プリパラ』や『キラッとプリ☆チャン』も含む「プリティーシリーズ」での位置づけは、下記の記事をご参照ください。

「キンプリ」と「プリパラ」って関係あるの？ いま放送してる「プリ☆チャン」も！？ アニメ『プリティーシリーズ』作品の関連性と、その魅力に迫る！！

■『プリティーリズム・レインボーライブ』が圧倒的に面白い3の理由！！

① 1話たりとも無駄のないノンストップジェットコースターな全51話！

『プリリズRL』は全51話。深夜アニメの話数に馴染んでいる方はこの数字を「多い」と感じるかもしれません。しかし実際に視聴してみると、この全51話は、ハッキリ言って「一瞬」です。その理由は、4クールある物語の中で、1クールごとにドラマのスケール感やキャラクター同士の関係性が大きく変化していく、ダイナミックで起伏に満ちたストーリー展開にあります。

主人公の“彩瀬なる”はアパレルショップ「プリズムストーン」の中学生店長となり、初めてのプリズムショーを経験します。その後“福原あん”、“涼野いと”と友達になり、3人でプリズムショーを披露していくことになるのですが、プリズムショーの名門校、「エーデルローズ」に所属するエリート“蓮城寺べる”は楽しくプリズムショーをしているなるたちの存在が面白くありません。1クール目では、べるとその仲間“森園わかな”はとても嫌な奴として描かれます。もうひとりのエーデルローズ生、“小鳥遊おとは”はいつもべるに辛辣な態度を取られており、べるとわかなも何かとギスギスしている様子。

しかし2クール目はそんなエーデルローズの3人にスポットが当たることに。彼女たちが家庭環境に問題を抱え、エリートとしてのプレッシャーに苦しめられ続けた結果、関係性を歪めてしまったこと、3人がかつては強い絆で結ばれていたことが明らかになります。本作を語る上でいつも話題にのぼる第24話「ひとりぼっちの女王」から第26話「虹を呼ぶハッピーレイン」までのエピソードは、ここまで本作を見届けた者ならば涙なしに観ることは難しいでしょう。

3クール目ではなる、あん、いとが結成したチーム「ハッピーレイン」とべる、わかな、おとはのチーム「ベルローズ」が築いた新たな関係を軸にしたストーリーが展開されます。全く違った道を歩んできた2チームの女の子たちは、お互いの異なった生き方を理解し合うことで、それぞれに残された家族の問題や、今まで気づけなかった自分自身の本心と向き合っていくのです。

ラストとなる4クール目は、6人と謎の少女“りんね”の7人で、プリズムショー存亡の危機に立ち向かっていくことに。ひとりひとりの物語も、決着を迎えます。

2時間の映画や、1クールのアニメやTVドラマで展開されるタイトな物語も非常に魅力的ですが、4クール、1年間を掛けて紡がれる物語からは、作品の主人公たちと同じ時の流れを共有しているような没入感が生まれます。『プリリズRL』でなるやべるたちが経験したほどの激動の1年間が描かれたアニメを、少なくとも僕は他に知りません。1話観るごとに濃厚なドラマが紡がれ、新たな問題が提示されていくため、YouTubeで一気観できる今ならば、きっとあなたは先が気になって、途中で視聴を中断することが困難になってしまうことでしょう。

② 心に傷を負った男子たちのドラマが最高にアツい！

上で紹介したメインの女の子たちのドラマには、ほかにも沢山の登場人物たちの思惑が複雑に絡み合っているのですが、その中でも本作を語る上で欠かせないのが、“オバレ”こと「Over The Rainbow」を結成することになる神浜コウジ、速水ヒロ、仁科カヅキの男子3人組。「キンプリ」にハマった方に『プリリズRL』を布教するときの決まり文句として、「オバレが結成するまででいいから観て！」というものを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか？ ぶっちゃけてしまうと、オバレ結成は本作の第51話。つまり最終話。要するに「全話観てほしい」ということなのですが、そこに至るまでのドラマはなるたちに負けず劣らず壮絶なもの。

甘いマスクで人気上昇中のアイドルでありエーデルローズの男子生徒であるヒロ。序盤での彼は、ステージ上での爽やかな笑顔とは裏腹に、自分の名声のためになるやいとたちを利用しようとする、酷い男として描かれます。一方でコウジは、かつてエーデルローズに所属し、天才的な作曲の才能を認められながら、ヒロに裏切られたショックからエーデルローズを辞め、暗い性格になってしまっているのです。しかしヒロにも彼なりの事情があり、そしてコウジへの歪んだ想いゆえ、彼に執着し続けているのでした。そんな彼らの関係に介入するのが、コウジの幼馴染であるカヅキ。カヅキは周囲の困っている人を放っておけない性格で、女の子たちのことも何度も助けることになります。

彼らのドラマは、ハッピーレインやベルローズの6人とも密接に関わり合いながら紡がれます。中には恋仲になる男女も……。『プリリズRL』が終わり、「キンプリ」の物語が幕を開ける頃にはとても強い絆で結ばれているオバレの3人。彼らの絆の真の意味を理解するには、『プリリズRL』を51話まですべて見届けることが必要不可欠なのです。『プリティーリズム・レインボーライブ』を、オバレが結成するまで観てください。

③ 回を重ねるごとに強い文脈を帯びる楽曲群とプリズムジャンプ！

3DCGで描かれた美麗なライブシーンは「プリティーシリーズ」に共通する魅力ですが、『プリリズRL』の楽曲及びプリズムショー演出が物語の展開から帯びる文脈の豊かさは、シリーズでも随一といって良いでしょう。

例えば蓮城寺べるのソロ曲である「Get music!」は、序盤では彼女の鼻持ちならない高いプライドを表現した曲のように感じるかもしれません。しかし終盤で披露されるステージでは、自分の弱さや臆病さを認めながら、それでも誰にも負けない自分になりたいという気高い渇望を歌った曲であると感じられることでしょう。

そのように感じられるのは多くの解釈が可能な楽曲の魅力だけではなく、彼女たちの心の煌めきそのものであるプリズムジャンプ・プリズムライブ演出の変化もあってこそ。電車で空の彼方へ旅立つなどエキセントリックな映像には、最初は面食らったり、吹き出してしまうかもしれませんが、彼ら彼女らがそのジャンプに込めた想いを知ったあとでは、きっと熱いものが込み上げてくることでしょう。

「キンプリ」のヒットもあり、今や男女問わず多くの方にその魅力が伝わっているであろう『プリティーリズム・レインボーライブ』。しかし本作が持つ無類の面白さを考えれば、まだまだ視聴者は増えるべきでしょう。今回の記事を通して、まだこの傑作を観ていない、ひとりでも多くの方の背中を押すことができれば幸いです。

そしてみんなで一緒に4月8日(月)からスタートする『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』を観て、少女たちが守った世界で、新たな煌めきが生まれ続ける喜びを噛み締めましょう。

『プリティーリズム・レインボーライブ』第1話はこちら

■TVアニメ「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」PV

■『プリティーリズム・レインボーライブ』公式サイト

■『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』公式サイト

©Ｔ－ＡＲＴＳ / syn Sophia / テレビ東京 / PRR製作委員会

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