今宵にお送りする「ゴールデンゲームハンマー」で取り上げますは、Nintendo Switch用ダウンロードソフトのパズルアドベンチャーゲーム『Yono(ヨノ)』でございます。
埼玉県はさいたま市誕生と共に合併消滅されました某所が脳裏をよぎられたかと思いますが、そちらのことではございません。ゾウさんの「ヨノ」です。
スウェーデンに拠点を置きますインディーゲームスタジオ「Neckbolt」様が制作されたゲームでございます。海外版の題名は『Yono and the Celestial Elephants』と、長いものになっています。日本では2018年5月3日より、CIRCLE Ent.様より発売中です。
1000年に一度、星より産み落とされます世界の守り手「エレファント」。
物語は「ヨノ」という子供のエレファントが生まれ、地球へ降り立つところから始まります。
降り立ったのは「ナイチンゲール王国」。この国には首都「ナイチンゲールシティ」のほか、「ウィンドヒル」、「サンダーガーデン」、「フリーヘイブン」の四つの地域がございます。その内のウィンドヒルを除く三つの地域には異なる種族が生活を送られていまして、ナイチンゲールシティには人間が、サンダーガーデンには「ボーンワイツ」と呼ばれる不老不死のガイコツが、フリーヘイブンには「メカニ」なるロボットがいらっしゃられます。
それぞれの種族たちは、価値観のズレなどから対立していたり、ある問題に悩まされています。ヨノは地球に降り立った時に出会った少女「スンダラ」、見習い僧の少年「カイ」と共に各地域を巡る旅を進め、問題の解決に取り組みつつ、自らの知見を広めていきます。果たして、ヨノはどのように成長していくのでしょうか。このように生まれたてのゾウさんの旅路を見守っていくのが主な内容となります。
ゲームとしましては「パズルアドベンチャー」を名乗られてますが、正確にはアクションアドベンチャーゲームとなります。斜め見下ろしの視点で描かれたフィールドを歩み、仕掛けを潜り抜けたり、パズルを解いたりしながら進めていきます。
スイッチを操作したり、カギを探し出すなど、ジャンルお馴染みの展開が待ち受けてございます。敵も当然のように出てきますよ。剣ではなく、頭突きで戦います。パワフルですね。そして、ヨノはゾウさんですから、受ける側はとっても痛そうです。また、種族が暮らす地域には迷宮こと「ダンジョン」もありまして、その最奥ではボスと戦うことにもなります。もちろん、アクションアドベンチャー(パズルアドベンチャー)ですから、力任せではなく、頭を使った戦い方が求められますよ。
本作ならではの特徴も多くございます。一つにフィールドです。「ナイチンゲールシティ」、「サンダーガーデン」、「フリーヘイブン」の三地域以外は全てダンジョンも同然な作りになっています。常に仕掛けとパズル、時々敵の皆さまが行く手を阻むのです。
三地域にはそれぞれに繋がる中継点のフィールドがございます。なんとなく広々とした、仕掛けもない場所を想像するかもしれません。ですが、本作は違います。一言で申しまして、パズルだらけなのです。
なので、目的地に到達するまで頭フル回転です。そのようなことはダンジョンで要求されるものですが、本作はその限りではないのです。それもありまして、最初から最後まで、頭が休まる暇もない構成になっています。
ヨノのアクションも特徴の一つです。アクションアドベンチャーとなりますと、探索の途中でアイテムが手に入り、新しいアクションができるようになることを想像するでしょう。
本作にそのようなものはございません。終始、頭突きや物を押す、かつぐなどの基本アクションでパズルに当たっていくのです。また、ヨノはゾウさん、立派なお鼻をお持ちです。対応するボタンを押せば、息を噴射して物を飛ばしたり、時に「風車」を回したりできちゃいます。
水の入った桶の近くで同じボタンを押せば、水を吸ってくれますよ。そこからさらにボタンを押せば、水を噴射します。それによって水車を回したり、火を消したりと言ったことができるのです。
このお鼻を活用したアクションこそが、旅を進めるに当たっての重要なカギになります。さらに吸えるのは水だけではございません。ゲームが進みますと「落花生」と「唐辛子」なるものも登場し、それぞれに対応したアクションが可能になります。
他にも物語本編とは別に、ナイチンゲール王国の歴史をひも解くイベントもありまして、そのために「文字」のアイテムを集めるという、変わった遊びが用意されているのも見所となっています。
このようにアクションアドベンチャーとしましては王道ですが、ゾウさんを主人公にしたなりの特徴的なアクション、全編ダンジョンな思い切った構成で楽しませてくれるゲームに仕上がっています。見た目とは裏腹にすごく頭を使いますので、プレイすればいい意味で面食らってしまうことでしょう。さすがのパズルアドベンチャーと言ったところです。
ゲームの模様を映しましたスクリーンショットの通りでございますが、主人公の「ヨノ」はとても可愛くあられます。移動したり、お水などを吸ったりする姿と仕草がものすごく可愛らしく、見ているだけで心がホッコリしちゃいます。
御本人も子供らしい好奇心の強さと素直さ、世界の守り手とされる「エレファント」としての使命感を秘めた親しみやすい性格です。価値観の異なる三種族の地域を巡り、未熟ながらもその問題に懸命に当たっていく姿には心打たれること間違いなしです。お子様をお持ちの親御様なら、我が子のような感情も抱いてしまうでしょう。
ただ、大変残念ながら本作、Nintendo Switchの動画撮影機能には対応しておらず、彼が可愛らしく、懸命に行動する姿を記録として残せません。なんということでしょう!なので存分にその姿を見たいなら、しこたまゲーム本編を遊びましょう!
そんな可愛いヨノですが、肝心の物語はとてもシリアスです。
何せ、価値観の違う三種族が対立しているのです。
どこの地域でも不穏な空気が漂っています。
特にロボットの種族「メカニ」達は、人間に不当な扱いを受けていることに激怒し、彼らに対して戦争を引き起こそうとしているのです。大変です。それを投票で決めようとしている彼らに、ヨノ達は介入することになるのです。もちろん、全てのメカニ達が戦争に賛同しているわけではなく、反対する者もおられます。そんな賛否の渦がうごめく中、ヨノはいかにして問題解決に臨むのか。これ以上先のことは、ゲーム本編でご覧ください。可愛いキャラクター達からは想像も付かない、生々しく、現実の世界情勢にも通ずる台詞の数々に考え込んでしまうでしょう。
他の「サンダーガーデン」、「ナイチンゲールシティ」でも多くの不穏な展開が起きます。終盤にはヨノにとって大変辛く、心苦しい展開もありまして、嫌でも彼の奮闘を応援したくなってしまいます。このような旅を通して、ヨノはいかにして成長するのか。世界はどうなるのか。それもまた、実際にゲームをプレイしてご覧ください。
三種族が生活を送る地域を除く、全てのフィールドでパズルが繰り広げられるのもありまして、頭の休まる暇は本当にございません。そして、進めば進むほどに新たなパズルが行く手を阻みますので、退屈することもありません。
パズルの難易度、構成も複雑すぎず、簡単すぎずの適度なバランスに落ち着いております。少し試行錯誤の必要なケースもございますが、大抵は直感を頼りにあれこれ動かせば、答えへの道筋が見えてくるようになっています。簡単なスイッチ操作を始め、ヨノのゾウさんとしての特徴を活かした「水」をテーマにしたパズルなど、バリエーションの豊かさにも注目です。
いわゆるヒント機能はなく、実力勝負なのでパズルに苦手意識のある方には少し辛く感じるところがありますが、全編がこのような構成なのもあって、とてもいい頭の体操になります。アクションアドベンチャーはパズルが醍醐味、とお思いの方なら、本作は要プレイであると言ってもいいでしょう。
寄り道要素もバッチリです。三種族の地域、別のフィールドに繋がる「トロッコ」がある駅を見つけてショートカットを解放したり、ヨノの体力最大値を上昇させる「ライフストーン」を探し出す、そしてナイチンゲール王国の歴史を明らかにする「文字」を集めるなど、色々な遊びが用意されています。
注目は歴史をひも解く遊びです。実に多くのトピックが用意されておりまして、文章のボリュームも膨大なものになっています。さながら、一つの歴史書も同然の読みごたえがありますので、世界観をより深く知りたい、物語をじっくり堪能したいなら、全解禁を目指して挑戦してみましょう。
なお、全体のボリュームはそんなに多くございません。早ければ大体、4〜5時間ほどでエンディングに到達できます。また、物語にも終盤はやや駆け足感の否めないところがございます。ダンジョンも公式に告げられている通り三つしかありません。人によっては、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
しかしながら、そういうところも許せてしまうほどにヨノは可愛らしく健気で、やり応え抜群のパズルもあって、とても強い印象を残すゲームに仕上げられています。単に可愛いキャラクター達がこぞって出てくるだけの内容として終わってもいない本作。いい意味でギャップの激しさが現れた良作です。
謎解き重視のアクションアドベンチャーがお好きなら、ぜひプレイしてみてください。可愛いヨノの見た目に釣られて買ってみるのもいいですよ。ちゃんと見た目を裏切らない可愛さで癒しを提供してくれます。ですが、繰り返しになりますが物語と世界観はシリアスなものになっていますので、心の準備はしておきましょう。
なお、本作はPCゲームの配信プラットフォームであります「Steam」様でWindows版も配信されています。ですが、こちらは日本語に対応しておりません。また、価格もNintendo Switch版から僅かに高くなっています。ゲーム中のテキストも非常に多く、英語でプレイするとなれば、根気が必要とされますので、これから遊ぶという方はNintendo Switch版を何卒、ご検討ください。
【ゲーム情報】
タイトル:『Yono (ヨノ)』
発売元・開発元:CIRCLE Ent. / Neckbolt
対応ハード:Nintendo Switch、PC(Windows)
ジャンル:
価格:1,000円[税込](Nintendo Switch)、1,520円[税込](PC)
関連リンク:
■Neckbolt公式サイト(※リンク先:英語)
■マイニンテンドーストア:商品&購入ページ(Nintendo Switch)