2019年3月19日に掲載した「【ゲームセール情報】STARTTゲームセールピックアップ:「マーベラス期間限定半額セール」編」の記事で、手短に紹介したシューティングタワーディフェンスゲーム『X-Morph: Defence(エックスモーフ ディフェンス)』。今回のゴールデンゲームハンマー第8回は、そんな同作を取り上げる。
改めて、この『X-Morph: Defence(エックスモーフ ディフェンス)』を紹介すると、2017年8月30日にPlayStation 4、Windows PC、2018年1月26日にXbox One、2019年5月2日にNintendo Switch向けに発売された作品。
制作はポーランドのインディーゲーム開発スタジオ「EXOR Studios」。国内PlayStation 4版の販売は株式会社マーベラスが、Nintendo Switch版はテヨンジャパン合同会社が担当している。PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で購入できるWindows PC版とXbox One版は、「EXOR Studios」自らによる販売。また、どの機種も日本語に対応している。(※音声は英語のみ)
地球外生命体「X-Morph(エックスモーフ)」は、エネルギー資源を求め、宇宙をさまよっていた。ある時、彼らは資源の採集に適していそうな手ごろな惑星「地球」を発見。「ハーベスターコア」なる兵器を地表に降下させ、惑星と同化してエネルギーの採取を進めようとした。だが、これに現地の知的生命体「人間」が反応。やがて彼らの操る陸上兵器と航空機が、コア目指して進撃を開始する。X-Morphは同化までの時間を稼ぐため、特殊攻撃機「X-Morph Fighter(エックスモーフ・ファイター)」を出撃。進撃してくる各種兵器を破壊し、足止めする防衛戦に打って出た。
物語のあらましはこのような具合だ。簡単に言えば、エイリアンになって人間どもを蹂躙し、地球を乗っ取るというものである。より乱暴に言えば、くたばれ下等生物。
ゲームは「タワーディフェンス」……任意の場所に攻撃兵器を建設し、陣地(本作の場合は「ハーベスターコア」)を破壊するため進撃してくる敵を倒していく、リアルタイム方式の戦略シミュレーションだ。
戦闘は攻撃兵器を建設する「セットアップ」、敵の波状攻撃に対抗する「Wave(ウェーブ)」の二つのフェーズを交互に繰り返す形で進行。最終的に全ての「Wave」を乗り切れば勝利。「ハーベスターコア」を破壊されてしまうと敗北だ。
攻撃兵器の建設は自機「エックスモーフ・ファイター」を動かし、半透明状態の「ゴーストモード」に切り替えて行う。当然ながら、無限に建設できる訳ではない。一つ建てる度に画面左下に表示された「資源ゲージ」が消費され、空になったり、必要な量がなくなってしまえばそこまでとなる。
また、敵に対抗する「Wave」で、どのルートから敵が攻めてくるのかは「セットアップ」時にオレンジ色の線で表示される。これを頼りに、残り資源と相談しながら兵器を建て、迎撃態勢を整えていくことが基本となる。
さらに、敵の進軍ルートはプレイヤーの手で変えることもできる。建設した兵器と兵器の合間に「レーザーフェンス」を展開でき、これでルート上にある道路の閉鎖を実施すれば、遠回りさせられるのだ。そのようにしてコアへの到達を遅くさせ、他のルート上に置いた兵器でじっくり丁寧にいたぶって、いい感じに焼き払っていくのが勝利へのカギだ。
とは言え、敵も建設した兵器一機で倒せるほどヤワではないのに加え、大群で攻めてくるので簡単に全部を捌ききれない。そこを補うのが自機「エックスモーフ・ファイター」。シューティングゲームのようにショットを撃ちつつ、建設した兵器と連携しながら迫りくる敵を倒していくのである。
もちろん、自機による攻撃サポートを妨害するべく、戦闘機やヘリコプターも迎撃中に攻めてくる。当然ながら、攻撃を受ければダメージとなり、耐久力が空になってしまうと撃墜されてしまう。しかし、コアが無事である限りは何度でも復活可能。受けたダメージも時間が経てば、自動的に回復する仕組みだ。
とは言え、敵の数は多いので、避けることは大事。地上の敵もこちらを攻撃してくるのに加え、ゲームが進むと強力な対空兵器もおいでませ。それどころか、レーザーフェンスなどの障害を飛び越えてくる機動隊まで出てくるので、しっかり状況を見据えながら連携しないと、あっという間に形勢逆転。また、特定のステージの最後にはボスとの戦いもあり、そこでは自機による重点的な攻撃が勝敗を握る展開になるので、ますます持って慎重な立ち回りが求められる。
このようにタワーディフェンス特有のルートを読んで戦略・戦術を練る楽しさ、シューティングゲーム特有の撃ちまくる快感と攻撃を避ける緊張感が高度なバランスで融合し、独自の共闘感を表現した、唯一無二の魅力を持つゲームになっている。侵略者になって下等生物皆殺しだのストーリーと設定が目立ちはするが、中身はとても堅実。そして、遊び応えも抜群の仕上がりだ。
◇タワーディフェンスとシューティングの親和性を感じさせるゲームシステム
リアルタイムで展開される防衛シミュレーションであるタワーディフェンスと、数あるゲームジャンルの中でも特に古い歴史を持ち、スリリングなゲームプレイに根強いファンを持つシューティング。水と油のような関係に見える二つのジャンルだが、実はこれ以上ないほどお似合いのカップルだったと思い知らされるほど、ゲームシステムがよく出来ている。兵器側で倒せず突破してしまった敵を、シューティング側による追撃で仕留めたり、兵器による攻撃に追い討ちをかけるために助太刀したりする場面では、「お前達(タワーディフェンスとシューティング)、すっげえいいコンビだな!」と言いたくなってしまうほど、二つのジャンルが見事な掛け合いを見せてくれる。それらの連携を生み出す、”絶妙に”固く設定された敵の耐久力も素晴らしい。
「その組み合わせはどうなの?」と、ゲームの概略を聞いた時に疑問に思うかもしれないが、プレイすれば間違いなく「すっげーいいじゃん!」と気持ちが”くるりんぱ”と変わるはず。続けて、このようにも思ってしまうだろう。
「ずっと一緒になるべきだった二人が、遂に結ばれた。」……と。
◇変化に富んだステージと手に汗握る人間達との戦い
舞台となる全14のステージも変化に富んでいて、終始、気の抜けない戦いが繰り広げられる。特にゲームが進む度に新たな敵が登場し、こちら側も設置できる兵器が増えていくという、段階的に要素を増やしていく構成が絶妙。中盤以降になると、ステージ上にあるビルなどの建造物を倒壊させて進路を潰す戦術が実施できるようになったり、敵側にも進行ルートを完全に無視する増援部隊が導入されるなど、ますます入り組んだ展開が繰り広げられていく。
また、本作の舞台は地球ということで、どのステージも実在の国となっているのも見所だ。もちろん、日本もありますよ。しかも、ゲーム開始時に分かることなのでネタバレしてしまうが、本作の最終ステージである。一体、どんな戦いが繰り広げられるのかはその目でご覧いただきたい。何故、最後が日本なのか?それを大いに納得させる”とある兵器”が出てきます。
また、ストーリー的な面で「エジプト」のステージも要チェックだ。
◇幅広いプレイヤーに対応した難易度と圧倒的なボリューム
ステージ総数は14と一見、少なめだが、一つクリアするのに30分~1時間半ほど費やすほどに内容ギッシリ。エンディングを目指すだけでも、10時間は余裕でかかるボリュームだ。さらに全四種類の難易度が用意されていて、それぞれの攻略とステージクリア時のスコアに応じてもらえる「メダル」の最高ランク獲得を目指すやり込み要素を完備。本編「ストーリーキャンペーン」をクリアして物足りなさを覚えたプレイヤーに向けても、新たな土地を舞台にした特別なシナリオを二種類用意。いずれも有料ダウンロードコンテンツのため、個別に購入しなければならないが、多種多様な遊び方が楽しめる内容になっていることは、おおよそ想像が付くはずだ。
難易度も標準の「ノーマル」はやや高めだが、適切な場所への兵器建設、シューティング側によるサポートを適時心がけることで不利な戦況が緩やかになるなど、戦略を練る楽しさを尊重したバランスになっている。簡単な「イージー」も収録。力任せに遊びたい、物語を楽しみたいプレイヤーの欲求にも応えてくれる。また、難易度はステージごとに自由に決められるので、途中で上げるも下げるも思うがままだ。
◇ドッカンドッカン大爆発!(瓦礫も飛び散りまくり!)
グラフィック、特に爆発表現は圧巻。細かい瓦礫や塵まで表現された、とても美しく、派手なものになっていて、爆発マニア垂涎必至!
もちろん、爆発音も申し分ないほどのやかましさだ。
ボスを倒した時の迫力たるや、思わず「スカッ」としてしまうはず。
侵略者の猛威に翻弄されながらも、決死の反抗を見せる地球軍の様子が描かれるストーリーも、いい意味でB級映画感溢れる仕上がり。英語音声ながら、フルボイスでバリバリ喋るのも雰囲気を引き立てる。ただ、画面左上並びに右上に表示される台詞の文字フォントが小さい。大きなテレビでようやく視認できる程度なので、もし、PlayStation 4版を小さなテレビでプレイするという時はご注意いただきたい。
「STARTTゲームセールピックアップ」においても少し紹介したが、本作は定期的にセールキャンペーンが実施されるゲームでもある。特に季節休みの時期によく行われる傾向がある。そして、セールの常連的存在になっていることから、もしかして怪しいゲームなのでは、と警戒心を抱く人も少なからずいるかもしれない。
だが、実際の内容は傑作と言っても何ら差し支えないほど、完成度の高いゲームだ。タワーディフェンスとシューティングが違和感なく融合したゲームシステムがキラリと光る逸品に仕上がっている。一回の戦闘に費やす時間がやや長いため(※Waveごとに途中経過が自動セーブされる機能は搭載されている)、腰を据えて挑む必要こそあるが、この手のジャンルがお好きなプレイヤーであれば、間違いなく至福のひと時を味わえるはず。たまにはエイリアンの尖兵として人間を蹂躙する戦い、楽しんでみませんか。某マーズのアタックの火星人のように暴れてみませんか。ちょいと頭を使いますけど。
【ゲーム情報】
タイトル:『X-Morph:Defense(エックス モーフ:ディフェンス)』
発売元・開発元:EXOR Studios / マーベラス / テヨンジャパン
対応ハード:PlayStation 4、Xbox One、PC(Windows)、Nintendo Switch
ジャンル:シューティングタワーディフェンス
価格:1,980円[税込](PlayStation 4、PC)、2,350円[税込](Xbox One)、2,000円[税込](Nintendo Switch)
関連リンク:
■商品&購入ページ:PlayStation 4版(PlayStation Store内)
■商品&購入ページ:Xbox One版(Microsoft Store内)
■マイニンテンドーストア:商品&購入ページ(Nintendo Switch版)
■第4回『Pixel Junk Shooter Ultimete(ピクセルジャンクシューター アルティメット)』
■第3回『シャンティ -海賊の呪い- for Nintendo Switch』