1月18日(金)に発売されたNintendo Switch用ダウンロードソフト『Travis Strikes Again: No More Heroes』(トラヴィス ストライクス アゲイン:ノーモア★ヒーローズ)。序盤をプレイして感じた本作の魅力をお伝えしたいと思います。
■『ノーモア★ヒーローズ』とは?
『ノーモア★ヒーローズ』(NO MORE HEROES)は2007年にグラスホッパー・マニファクチュアが開発し、マーベラスエンターテイメント(現マーベラス)が販売したWii用ゲームソフト。日本の萌えアニメをこよなく愛する青年“トラヴィス・タッチダウン”が、ひょんなことから手に入れた“ビームカタナ”を手に、全米殺し屋ランキング1位を目指して、個性豊かな手練の殺し屋たちと戦っていくアクションアドベンチャーゲームです。PS3やXbox 360への移植も行われています。続編の『ノーモア★ヒーローズ2 デスパレートストラグル』は2010年にこちらもWii用ソフトとして発売。なお2作目は他機種への移植は行われていません。
今回ご紹介する『Travis Strikes Again: No More Heroes』はコンシューマ機向けとしては約9年ぶりのリリースとなるシリーズ最新作ですが、過去作をプレイしていないとストーリーが分からないということはないのでご安心を。
ただ、本作には過去作全てをプレイしていても「そんなこと聞いてない!」と叫びたくなるような仰天設定や突っ込みどころがたくさん用意されていて、シリーズファンでも困惑すること必至。加えておふざけやメタなギャグ、オタクな与太話なども膨大あるため、全てに突っ込んでいたらキリがありません。キャラクター同士の会話などには適度に突っ込みを入れつつ、適度に聞き流しながらプレイするのが本作を楽しむコツです。
■物語の導入
妻や娘に別れを告げ、ひとりトレーラーハウスで暮らしていた元全米殺し屋ランキング1位のトラヴィス・タッチダウン(注:トラヴィスに妻や娘ができたことはシリーズファンも初耳)。そんな彼の元に“バッドマン”という男が現れます。彼は『ノーモア★ヒーローズ』1作目でトラヴィスに殺された女性殺し屋“バッドガール”の父親。
娘の仇を討つためにトラヴィスの前に姿を表したバッドマン。しかし彼が持ってきたゲームソフトに、トラヴィスが所持していた伝説のゲーム機“デスドライブMk-II”が反応。なんとそのソフトは世界に6タイトルしかない、全て集めると願いが叶うと言われるデスドライブMk-II専用ソフト、通称“デスボール”だったのです! デスドライブMk-IIの不思議なちからでゲームの中に吸い込まれてしまったふたり。ゲーム世界から脱出し、ソフトを6つ集めて願いを叶えるために、トラヴィスとバッドマンは共に戦うことに……。
これが本作の物語の導入です。「ボールを集めると願いが叶う」というどこかで聞いたことがある設定の上に、めちゃくちゃな展開ですが、いちいち突っ込んでいたら身が持たないのが本作。ということで話を進めます。
■アクションの基本システム
デスドライブMk-IIのゲーム内世界では見下ろし視点のアクションゲームとなる本作。「ベーシック攻撃」と威力が高くガードを崩せる「ヘビー攻撃」、ゲージが貯まると放てる強力な「チャージ攻撃」を使い分けて、わらわらと湧いてくる敵をなぎ倒していきましょう。攻撃を続けているとビームカタナのバッテリーが切れてしまうので、そうなる前にコントローラを上下に振って充電です。うっかりバッテリーゼロの状態で大勢の敵の中に飛び込むと、袋叩きに遭うので注意!
ゲーム世界の最後には強力なボスキャラクターが待ち受けています。彼らはデスドライブMk-II用ソフトで元々は主人公を務めていたキャラクター。コイツを倒せばゲーム世界から脱出できます。
ちなみに今回は(一緒に遊んでくれる友達が見つからなかったので)プレイしていませんが、アクションパートはNintendo Switchの"おすそわけプレイ"でふたり同時プレイも可能。トラヴィスとバッドマンの共闘が楽しめます。
■拠点となるトレーラーハウスは遊び心満載!
現実世界に戻ると、トラヴィスの拠点であるトレーラーハウスで、次の戦いの準備を行うことに。ネットで新しいTシャツを購入したり、いくつかの資料を読むことができます。
本作は数十作ものインディーゲームとコラボしており、Tシャツの多くはそれらインディーゲームの絵柄となっています。『Hollow Knight』や『Hyper Light Drifter』、『Downwell』などSwitchでもリリースされ好評を博しているものから、『YIIK: A Postmodern RPG』や『ピクニック』など近々リリースを控えているものまでラインナップは非常にバラエティ豊か。
加えて「レジェンダリータイトルコラボ」として、任天堂の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』のTシャツが登場することも公式ツイッターのツイートから明らかになっていますが、序盤ではまだ入手方法は分かりませんでした。
また、その無駄な作り込みに驚かされるのが、トレーラーハウス内の本棚に並んだデスドライブMk-IIとそのソフトを紹介するゲーム雑誌。こちらは80年代頃のゲーム雑誌のテイストを再現しています。
ゲーム雑誌はデスボールを手に入れるたびに増えていく模様。こちらの作り込みをチェックするのも、本作の楽しみのひとつになりそうです。
■トラヴィスたちの戦いは続く……
その後、残りのゲームソフトを探す旅に出るトラヴィス。なんと現実世界のストーリーはレトロ風味なノベルゲーム方式で進行していきます。この統一感の無さも『ノーモア★ヒーローズ』らしさ……。
こちらのテキストでも様々なオタクネタが飛び出す「ノーモア節」は健在。むしろこれまで以上にヒドいような(ほめ言葉)。
さらにノベルパートではデスボール入手の鍵を握る人物として、グラスホッパー・マニファクチュアの処女作『シルバー事件』の“ウエハラカムイ”や、本作のディレクター兼シナリオライター須田剛一氏が原作を手掛け、竹谷州史氏が作画を担当した漫画『暗闇ダンス』の“月夜野小明”がカメオ出演。今後も本作にゆかりのある作品のキャラクターのカメオ出演が期待できそうです。(※彼らの出演作を知らなくてもストーリーの理解には支障ありません)
■Travis Strikes Again: No More Heroes ローンチトレーラー
『トラヴィス ストライクス アゲイン:ノーモア★ヒーローズ』にはゲームのみならず、映画やドラマなど、広範囲に渡るサブカルチャーのネタが散りばめられていて、全てを把握し切れる人はほとんど居ないものと思われます。しかし知らないからこそ、本作はいままで知らなかった作品を知るきっかけにもなるでしょう。
本筋の展開も、これからどんなゲームの世界を訪れることになるのか? デスボールが6つ集まったとき、トラヴィスとバッドマンは何を願うのか? などなど興味は尽きません。
アクションゲームとしてもとても楽しい本作ですが、ここまでにご紹介した突っ込みどころ満載の世界観やテキスト、オタクネタの数々が気になった方にこそぜひプレイしていただきたいと思います。そしてあなたにとって本作が、他のグラスホッパー・マニファクチュア作品や、コラボを行ったインディーゲームをプレイするきっかけになったとしたら嬉しいです。
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