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「本当の自分」を救う旅……『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -』で引き裂かれるような痛みを乗り越えろ:ダウンロード・ゲーム最前線(第2回)

【注意!】今回ご紹介するゲームは「CERO:D(対象年齢17才以上)」です。

     残酷描写がありますので、苦手な方はご注意ください。



こんにちは。小林白菜です。


あなたは最近、ゲームで「心を揺さぶられる体験」をしましたか?


人は様々な娯楽に触れていく中で、「同じようなパターン」の作品に出逢うたび、そのパターンからはあまり刺激を受けなくなっていきます。


同じようなストーリー、同じような世界観、同じようなゲームシステム……。


小説にせよ、映画にせよ、ゲームにせよ、優れた作品でも「これ前にもあったな」という感覚がよぎる瞬間はあるでしょうし、全ての要素が唯一無二の作品なんて、今の時代には存在しません。


しかしそれでも、作品の「核」となる部分に触れ、その作品だけが放つ「煌めき」を捉えることができたとき、それは「心を揺さぶられる体験」になるのだと思います。


『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -』というゲームは、僕にとってまさにそんな体験になったのです。


というわけで今回は本作の魅力を、ネタバレに配慮しながらお伝えしていこうと思います。



■手足がもげる少女を操作して親友を探し出す


『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -(以下、The MISSING)』はWhite Owlsが開発し、アークシステムワークスが販売しているダウンロード専用タイトル。


ディレクターを務めたのはSwery65こと末弘 秀孝(すえひろ ひでたか)氏。


末弘氏は近年『レッドシーズプロファイル』や『D4: Dark Dreams Don't Die』など、賛否両論巻き起こるゲームを作り続けているクリエイター。特に『レッドシーズプロファイル』は「最も評価の割れたサバイバルホラーゲーム」としてギネスの世界記録にも認定されています。


では最新作である『The MISSING』はどうだったかと言えば、これまたやはり非常に癖の強いゲームなのです。


■The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 - 日本語トレーラー

 


ストーリーは主人公の少女「J.J.」が、サブタイトルにもなっている「追憶島」で姿を消した親友「エミリー」を探しているうちに奇妙な現象に巻き込まれていくというもの。


ゲームジャンルは横スクロールのアクションアドベンチャーゲーム。待ち受ける謎を解きながら、画面左から右へと進み続けることで物語が進行していきます。


『スーパーマリオ』シリーズや、本作と同様に謎解き要素の強いアクションゲームならば『Braid』などは短く区切られたステージをひとつひとつクリアしていきますが、『The MISSING』はゲームスタートからラストまで、基本的にひとつなぎの世界をひたすら進み続けることになります。その間、ロード画面を挟むこともありません。


これに近いゲームだと、末弘氏本人も影響を受けたと公言している『LIMBO』や『INSIDE』といった作品が挙げられます。


■『LIMBO』

 


■『INSIDE』

 


ゲームジャンルとしては先行作品からの影響が大きい『The MISSING』ですが、ユニークなのは「ゲームシステム」と「ストーリーの見せ方」。


主人公「J.J.」は何故か死ねない体になってしまっているので、腕や足を切断されても命に別状はありません。


この「腕や足が千切れる」ことを利用して、仕掛けを解いていくのです。意味が分かりづらいかと思うのでプレイ動画をご覧ください。


 

▲千切れた体を”おもり”にして板の角度を固定して障害を乗り越え、千切れた腕をもう片方の腕で放り投げ、足場となる箱を入手する


ダメージを受けた部位に応じて四肢がもげていく「J.J.」。そのままダメージを受け続けると最終的に首だけになります。


 

▲首だけになると転がって移動することに。この状態でしか通れない場所も……


不死身のJ.J.も頭へのダメージを無効化することはできない模様。生首状態でさらにダメージを受けるとゲームオーバーです。生首状態で危険な場所を通らなければいけない局面もあり、不死身な状態に慣れてしまっているだけにかなり緊張します。



ストーリーについては、J.J.とエミリーの関係や、エミリーが何故J.J.から逃げるのか、直接的な描写は少なめです。


けれど、ゲームが進むにつれてJ.J.のスマホには、過去にエミリーや自身の母親とSNSアプリで交わしたやりとりが届くようになります。J.J.とエミリーの関係性やバックボーンはこのアプリ上のやりとりから導き出せるようになっているのです。



▲J.J.とエミリーのやりとりは最初のうちは微笑ましいものだが、徐々に剣呑な雰囲気に…


また、道中に散らばるドーナツを集めることで、エミリー以外の友人や知人とのやり取りも読めるようになります。こちらは読まなくてもストーリーは理解できますが、読んでおけばJ.J.の人となりをさらに理解でき、物語の結末はより感慨深いものとなるでしょう。



▲友人や大学教授とのやりとりからはJ.J.の気さくで人当たりのよい性格が見て取れる



▲ドーナツの収集は本作制作時のアートワークをアンロックする鍵でもある



■「あなたはあなたのままでいい」ということを表現したストーリー


『The MISSING』は全てを語らないゲームです。エンディングを見届けても、腑に落ちない点や疑問点は残るかもしれません。


このゲームを理解する最大の鍵は、ゲームを立ち上げた際に真っ先に表示されるメッセージ。



▲本作を通してクリエイターが最も伝えたいことはこのメッセージなのだろう


本作がこの言葉の真意をプレイヤーに伝えるために生まれたゲームだと考えれば、本作のゲームデザインがユニークなだけではなく、如何にストーリーを引き立てるために優れたものであったかが分かることでしょう。


「追憶島」で起こる奇妙な出来事の数々。過去のSNSでのやりとりから明かされるJ.J.が抱える苦しみ。J.J.の体がバラバラになるのは、彼女の心が引き裂かれそうな痛みを抱えていることの比喩とも取れます。それらがひとつに繋がり、導き出される真実とは……?


本作の解釈はプレイヤーによって多少異なるものになるかもしれません。クリアした者同士で議論するのも楽しいゲームと言えるでしょう。


とはいえ変テコだけどおしゃれな世界観を味わうだけでも、十分プレイする価値があるので、気兼ねなくプレイしてほしいゲームでもあります。


ただ、完璧なゲームとは言い難い作品です。先程言及した『LIMBO』や『INSIDE』と比べると、操作性は良いとは言えません。J.J.のアクションはぎこちなく、思ったように操作できない瞬間や、レスポンスの悪さにやきもきすることもあるでしょう。操作設定の項目はあるものの、かゆいところに手が届かないのも残念です。一部の謎解きが説明不足だったり、Nintendo Switchの携帯モードではヒントとなる部分が視認できないこともありました。



また終盤には操作方法が変化するパートがあるのですが、特に何の説明もないので、どうすればゲームを進められるのか分からず困ったりもしました。


(※ もし終盤、どうしたらいいか分からなくなったら、コントローラのスティックを「上」に倒し続けてみてください)


ストーリーの見せ方についても一部のシーンでは演出過剰と感じる方もいるかもしれません。


それでも、上記の不満点に目をつむってでも体験する価値が『The MISSING』にはあると断言できます。


ユニークなゲームシステムと、ゲームとしては極めて稀なテーマを、けれどゲームでしか成し得ない手法で描いたストーリー。それらはきっと、あなたに本作でしか得られない「心を揺さぶられる体験」を提供してくれるでしょう。


ぜひあなたにも『The MISSING』をプレイしていただきたいと思います。



■『The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -』

●ジャンル:アクションアドベンチャー

●メーカー:アークシステムワークス

●開発:White Owls

●対応機種:Nintendo Switch、PlayStation4、Xbox One、PC(Steam、DMM GAMES)

●価格:2,990円(※ Xbox One版のみ3,240円)


■公式サイト


© White Owls Inc. / ARC SYSTEM WORKS

2018-12-13 19:30
小林白菜
2018-12-13 19:30
小林白菜
この記事のURL
https://startt.jp/article/2018/12/13/54231


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