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『やがて君になる』原作コミックを繊細な表現で映像化:見逃した新作アニメをイッキ見しよう!【連載 第6回】

好きな漫画や小説がアニメ化される……そう聞いたとき、あなたはどんな想いを抱きますか?


無邪気に喜ぶ方もいるかもしれません。


けれど大好きな原作が、「イメージと違う」アニメになってしまうのではないかと、不安を感じる方もいるんじゃないでしょうか。原作への愛があればあるほど、中途半端なアニメにはなってほしくないと思うのも、ファンの性(さが)です。


僕にとって『やがて君になる』のアニメ化は、そんな不安がとても大きいものでした。


しかし実際にはじまったTVアニメ版『やがて君になる』は、素晴らしくも尊い原作を、アニメだからこそ描ける手法で巧みに昇華した傑作となっていたのです。


原作でも非常に重要なエピソードのアニメ化だった第6話、そして僕も大好きなキャラクター、佐伯 沙弥香(さえき さやか)にスポットが当たった第7話と、ここ最近のエピソードは特に胸がいっぱいになる展開が目白押し。ひとりでも多くの方に本作の魅力を知ってほしくなり、この文章を書いている次第です。


というわけで今回は2010年代を代表する百合漫画『やがて君になる』の魅力を原作とアニメ版、その両方からご紹介していきたいと思います。



■『やが君』が「百合漫画」の枠を超えて支持される理由




漫画『やがて君になる』は仲谷 鳰(なかたに にお)が月刊コミック電撃大王にて連載している作品。ジャンルとしては女性同士の恋愛、またはその周辺の感情の機微について取り扱う「百合漫画」と呼ばれる作品群に属しています。


「恋愛、またはその周辺の感情の機微」と書きましたが、どの程度の範囲までを「百合」と考えるかは人によって大きく異なっており、「恋愛感情のみが百合」と考える人もいれば、「女性と女性がすれ違ったら百合」と考える人もいるため、この点の議論は今回避けます。


しかしどのように定義付けている方でも、『やがて君になる』が百合漫画であることに異を唱える方はほとんどいないでしょう。


そして本作は百合漫画情報サイト「百合ナビ」にて昨年から行われている「百合漫画総選挙」で、2年連続1位を獲得しているのです。


●「百合ナビ」第二回 百合漫画総選挙 結果発表(10~1位)


ではなぜ『やがて君になる』はこれほどまでに支持されているのでしょうか?


それは恐らく、恋愛漫画というより大きな括りで見ても、本作ほど「好き」という感情を深く掘り下げて描かれている作品はほとんどないからなのだと思います。



『やがて君になる』の主人公、小糸 侑(こいと ゆう)は恋愛感情が分からない高校一年生の女の子。少女漫画やラブソングで描かれているような気持ちに憧れながらも、心からそれらを理解できたことはありません。


ひょんなことから高校の生徒会に出入りするようになった侑は、そこで七海 燈子(ななみ とうこ)という二年生の女子生徒と出会います。


実は燈子もまた、これまでに多くの男子生徒から(稀に女子生徒からも)告白されてきたものの、恋愛感情を持てないために全て断ってきたというのです。


恋愛感情を持てたことがない……自分と同じような気持ちを抱える燈子に親近感を持つ侑。


しかし侑が覚えた親近感は燈子によってあっさり打ち砕かれます。


「先輩は、わたしと同じじゃないんですか…」


「ううん、違う だって……だって私、君のこと好きになりそう」


 


侑のことを好きになってしまった燈子と、未だに「好き」を知らない侑。ふたりの奇妙な関係はお互いを知れば知るほど深まっていきます。


平行して描かれるのが生徒会に集った人々との交流や、燈子主導で企画される、数年前まで行われていた文化祭での生徒会劇の復活。


そしてこの生徒会劇にこそ、燈子が抱える秘密……燈子が侑に強く惹かれた理由の一端が隠されていたのでした。



『やがて君になる』における登場人物たちの「好き」の芽生えは、極めて論理的に描かれています。


「人は理由なく恋に落ちるもの」という認識を前提とするのではなく、「好き」を知らなかった少女たちの胸の内に「好き」が生まれ育ってゆく様が、さりげない台詞やキャラクターたちのちょっとした機微から読み解ける感情の移ろいによって克明に描写されていくのです。


侑と燈子がもし女の子同士でなければ、このような関係性にはならなかったかもしれません。


けれど『やがて君になる』で描かれる「好き」の感情は、多くの読者がセクシャリティを問わず共鳴し得る、または改めて「好きって何だろう?」と考えてみる切っ掛けとなるところまで深く深く掘り下げられており、本作が百合漫画の読者層を超えて支持される理由となっているのだと思います。


生徒会劇も終わり、次の局面を迎えている原作からも、目が離せません。



■原作の余白を情緒溢れる表現で補完したアニメ版


 


現在放送中のTVアニメ版『やがて君になる』は、原作の魅力を繊細に、そして緻密に映像化した作品になっていると思います。


漫画は「瞬間を切り取る」メディアだと言えるでしょう。


アニメ版は原作で描かれる瞬間と瞬間、コマとコマの間をただ映像として繋げるだけでなく、そこに横たわる情感を最大化するべく、画面構成からふとしたキャラクターたちの仕草まで独自の解釈が加えられ、非常に密度の濃い映像表現が成されているのです。





ティーカップに入った紅茶の揺らめきは侑や燈子の心の震えを表し、侑が校舎の廊下の中心線の上を歩く様子からは選択に迷う心情が見て取れ、ふたりの間に配置された柱からは、燈子から侑への強い拒絶を思わせる場面もあります。


画面構成、ふとした表情、仕草、アングルの推移に至るまで、画面内で起こるすべての事象にキャラクターの内面が溶け込んでいるような緻密な映像は、原作を読んでいてもきっと改めて物語を見つめ直す切っ掛けになることでしょう。


また今回のアニメ化では原作側の手厚い監修を受けているのもポイント。独自に加えられた映像表現も、漫画版の侑たちの感情と齟齬が生まれることはまず無さそうです。




原作では描かれていなかった侑と燈子のSNS上でのやり取りの文面のほとんどを仲谷先生本人が書いているとのことで、微笑ましいやり取りのひとつひとつが、より一層ふたりの絆の深まりを補完してくれています。


アニメの尺に合わせてテンポを早めるのではなく、緩やかなテンポの中で、原作でも描ききれなかった些細な機微を慎重に積み重ね、少女たちの感情をより丁寧に描こうと努めるTVアニメ版『やがて君になる』。


これほど原作を尊重したアニメ化は、それほど多くないでしょう。



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■今回のイッキ見!まとめ



『やがて君になる』は原作漫画、アニメ共に本当に素晴らしい作品です。まずはぜひあなたが触れやすい媒体を選んで、一度触れてみていただきたいと強く思います。


そしてもし気に入ったのならば、原作とアニメのメディアによる表現方法の違いを楽しみつつ、侑と燈子、それから沙弥香たちの感情を感じてみてください。


電撃文庫にて発売されている佐伯沙弥香の過去を描いたスピンオフ小説『やがて君になる 佐伯沙弥香について』も合わせてどうぞ。


それではまたお会いしましょう!



■今回紹介したアニメ



『やがて君になる』

2018年10月5日よりTOKYO MX、BS11などのチャンネルにて放送中!!

放送時間は公式サイトをご確認ください。


■公式サイト


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

2018-11-29 06:00
小林白菜
2018-11-29 06:00
小林白菜
この記事のURL
https://startt.jp/article/2018/11/29/54160

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