これから過去のプリキュアたちに触れるあなたが、自身にとっての「最高のプリキュア」を見つけるための助けになりたい・・・という想いから始めた、『プリキュア』歴代15作品紹介記事。【中編】となる今回は以下の5作品を紹介させていただきます。
■フレッシュプリキュア!
■ハートキャッチプリキュア!
■スイートプリキュア♪
■スマイルプリキュア!
■ドキドキ!プリキュア
■【前編】はこちら
【短期連載】『プリキュア』15周年記念企画! プリキュア全シリーズ大紹介!!【前編】
それではさっそく始めて行きたいと思います。
【シリーズ6作目】フレッシュプリキュア!
2009年2月~2010年1月放送
●登場プリキュア
キュアピーチ/桃園ラブ(CV:沖佳苗)
キュアベリー/蒼乃美希(CV:喜多村英梨)
キュアパイン/山吹祈里(CV:中川亜紀子)
キュアパッション/東せつな(CV:小松由佳)
プロデューサーをはじめとした重要なスタッフの入れ替わりがあり、新体制で制作されたプリキュア。
特に目立った変化と言えば劇伴を『NARUTO』シリーズや今期では『ゾンビランドサガ』などの楽曲を手掛けている高梨康治が担当し、ハードロック/ヘヴィメタル調の楽曲が多様されるようになったことでしょう。本作から9作目『スマイルプリキュア!』までの4作品で高梨氏が作曲した劇伴はファンの間で「キュアメタル」と名付けられ、親しまれています。
『ふたりはプリキュア Splash☆Star』紹介時にも触れましたが、本作はプリキュアにおける「敵として登場したキャラクターとの和解と共闘」というストーリーラインを定番化させた作品。ディストピア国家「ラビリンス」で生まれ育ち「幸せ」を知らなかった少女が主人公たちの優しさに触れ、苦悩の果てに4人目のプリキュアとして生まれ変わる展開は、涙なしには観ることができません。
4人のプリキュアはダンスチーム「クローバー」を結成し活動するのですが、これは当時女の子の関心が強いもののひとつにダンスがあったため。もはや伝統となっている、エンディングでの3DCGで描かれたプリキュアたちによるダンスも本作からです。最近の作品と比べればさすがにCGのモデリングは見劣りしますが、上記のストーリーを踏まえて後期ED曲「H@ppy Together!!!」で笑顔で踊る4人の姿を見ると、深い感慨が込み上げてきます。
【シリーズ7作目】ハートキャッチプリキュア!
2010年2月~2011年1月放送
●登場プリキュア
キュアブロッサム/花咲つぼみ(CV:水樹奈々)
キュアマリン/来海えりか(CV:水沢史絵)
キュアサンシャイン/明堂院いつき(CV:桑島法子)
キュアムーンライト/月影ゆり(CV:久川綾)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦、シリーズ構成:山田隆司の『おジャ魔女どれみ』コンビを迎えて制作されたシリーズ7作目。久しぶりにキュアブロッサムとキュアマリンの2名体制で物語がスタートしますが、途中でひとりずつ仲間が加わり、最終的には4人の物語になります。
その可愛らしいタッチとは裏腹に、ストーリーは比較的ヘビーなもの。人の心が弱り「こころの花」が枯れそうになるとそこを敵に付け込まれ、怪物にされてしまうという設定で、毎回主人公たちの周囲の人々が抱える悩みや苦しみが元で怪物が生まれるため、バトルだけでなく現実的な葛藤とその克服も各エピソードの見どころとなっています。
また、かつて相棒の妖精を失い、プリキュアに変身することができなくなったキュアムーンライト/月影ゆりの運命も過酷なもので、彼女の儚くも強く気高い雰囲気は他のプリキュアにはない魅力と言えるでしょう。
もちろんシリアスなだけではなく、可愛らしいキャラクターたちが日常、バトル問わずとても魅力的に動き回るのも本作の強み。特にキュアマリン/来海えりかの自由奔放さはその後のオールスターズ映画でも唯一無二の存在感を放ち続けています。
過酷な運命や試練を乗り越えての成長といった少年漫画色強めの作風かつ濃厚な人間ドラマも味わえ、「かわいい」「楽しい」も詰まった、プリキュアシリーズとしては異色かつハイレベルな傑作です。
【シリーズ8作目】スイートプリキュア♪
2011年2月~2012年1月放送
●登場プリキュア
キュアメロディ/北条響(CV:小清水亜美)
キュアリズム/南野奏(CV:折笠富美子)
キュアビート/黒川エレン(CV:豊口めぐみ)
キュアミューズ/調辺アコ(CV:大久保瑠美)
「音楽」がテーマのプリキュアで、スイートは”sweet(甘い)”ではなく”suite(組曲)”の意。前作同様、序盤はキュアメロディ/北条響とキュアリズム/南野奏のふたりが活躍し、中盤から仲間が増えて最終的に4人の物語になります。
響と奏は、かつては親友だったけれどあることがきっかけで仲違いしており、最初は喧嘩ばかりしています。しかし誤解が解け、少しずつ心の距離を縮めていく展開の中でふたりの心情が繊細に描かれており、この部分はスイートならではの魅力と言えます。
その後、仲間になるふたりも、それぞれが苦難を乗り越えた上でプリキュアとなるのですが、それらのドラマが結実する終盤の展開は、酸いも甘いも経験した視聴者にこそ心に響くものかもしれません。
放送中に東日本大震災があり、これを踏まえたものと思われる強いメッセージ性も含め賛否ある作品ですが、プリキュアが持つ可能性のひとつを追求した鮮烈な一作と言えるでしょう。あらゆる伏線を把握した上で改めて1話から再視聴を行う、いわゆる”2周目”が楽しいプリキュアでもあります。
【シリーズ9作目】スマイルプリキュア!
2012年2月~2013年1月放送
●登場プリキュア
キュアハッピー/星空みゆき(CV:福圓美里)
キュアサニー/日野あかね(CV:田野アサミ)
キュアピース/黄瀬やよい(CV:金元寿子)
キュアマーチ/緑川なお(CV:井上麻里奈)
キュアビューティ/青木れいか(CV:西村ちなみ)
「笑顔」がテーマのプリキュア。タイトル通り視聴者が思わず笑顔になってしまうような、ハチャメチャな楽しさが魅力です。
プリキュアが「妖精と入れ替わる」「小さくなる」「おみくじで大凶を引いて運が悪くなる」「ロボットになる」など特異なシチュエーションで繰り広げられるドタバタコメディ回は正に本作の真骨頂で、大人も子どもも思わず吹き出してしまう展開が目白押し。それ以外にもテンションの高い面々、特に関西弁でボケもツッコミもこなすキュアサニー/日野あかねが非常にいい仕事をしていて楽しい雰囲気のエピソードが多いです。
中盤、終盤にはシリアスかつ熱い展開も待っており、仲間のためにボロボロになりながらも戦う5人の勇姿、そして各プリキュアの、自身の特性を活かした華やかかつダイナミックな戦闘シーンは血が滾ります。
「楽しさ」「熱さ」といったプリミティブな感情を喚起させてくれる、とっつきやすさではシリーズ随一の作品と言えるでしょう。
【シリーズ10作目】ドキドキ!プリキュア
2013年2月~2014年1月放送
●登場プリキュア
キュアハート/相田マナ(CV:生天目仁美)
キュアダイヤモンド/菱川六花(CV:寿美菜子)
キュアロゼッタ/四葉ありす(CV:渕上舞)
キュアソード/剣崎真琴(CV:宮本佳那子)
キュアエース/円亜久里(CV:釘宮理恵)
(レジーナ(CV:渡辺久美子))
「愛」と「愛から生まれるドキドキ!」をテーマにしたシリーズ10作目。生徒会長、生徒会書記、財閥の令嬢、異界から来たアイドルなど、異色の肩書を持つメンバーが多いチームで、特に主人公を務めるピンクプリキュア(キュアハート/相田マナ)が勉強もスポーツも万能な生徒会長というのは異例。人としてもプリキュアとしてもカリスマ性を持った彼女が皆をグイグイ引っ張っていきます。
敵キャラクターである「ジコチュー」はその名の通り自己中心的な考え方から生まれる怪物。しかし誰かへの愛が自らのエゴ、すなわち「ジコチュー」と表裏一体であることが描かれるなど難しいテーマに挑戦しています。「キングジコチュー」の娘としてわがままに育てられながらも、マナたちの無償の愛に心を惹かれていく「レジーナ」というキャラクターも、プリキュアにはならないながら面白い立ち位置。
『ハートキャッチプリキュア!』と同様、少年漫画色が強い作品でもあります。これはシリーズ構成を『メダロット』『クラッシュギアNitro』『デジモンセイバーズ』などに携わった山口亮太が行っていることが大きいように思えます。
【後編】となる次回は、シリーズがさらなる円熟を迎える、11作目から15作目の現行作『HUGっと!プリキュア』までをご紹介させていただきます。
それでは、ごきげんよう!
(10/27 Update 【後編】の記事が公開されました!)
【短期連載】『プリキュア』15周年記念企画! プリキュア全シリーズ大紹介!!【後編】
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