こんにちは。ライターの小林白菜です。
日々、数多くのゲームがリリースされ、どれを遊べばいいか迷っているだけで時間が過ぎ去ってしまう昨今。特にパッケージ版がリリースされない「ダウンロードタイトル」の中には、ちょっと見ただけでは面白さに気づけない一見地味な、けれど大作ゲームに負けず劣らず、むしろそのゲームにしか無いキラリと光る魅力の詰まったものが沢山あります。
この連載では、そんなダウンロードタイトルの中からオンリーワンかつお値段以上の面白さが保証できる高評価ゲームを、僕の独断と偏見でセレクトし、紹介していきたいと思います。
今回ご紹介するタイトルは『Dead Cells』。ローグライクの2D探索型アクションゲームです。
■『Dead Cells』日本語版トレーラー
「ローグライク」とは訪れるたびに構造の変わるランダム生成のダンジョンで、探索・戦闘を行い、アイテムや武器を収集・強化しながら深部を目指していくゲームジャンル。ゲームオーバーになるとキャラクターの成長や収集したアイテムの一部(または全て)が失われてしまうことから、シビアでコアゲーマー向けのタイトルが多いのも特徴です。
しかし徐々にプレイヤーに蓄積されていくノウハウが活きてくるやり甲斐と、ランダム生成による突発的なアクシデントへの対応力が求められるスリルで、いちどハマると病み付きになる魅力も秘めています。
ジャンル名をご存知の方は『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』といった『不思議のダンジョン』シリーズを思い浮かべる方も多いでしょう。今回取り上げる『Dead Cells』はローグライクに『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラ』といった真横視点での探索アクションを組み合わせたゲームであり、このカップリングによって唯一無二の楽しさを生み出すことに成功しています。
■このゲームの面白さ3つのポイント
①武器の組み合わせの数だけ生まれる、無限の戦術!
②本気で殺しに来る強敵たち……殺られる前に殺れ!!
③「死」は新たな始まり――何度も挑戦して強くなれ!!!
①武器の組み合わせの数だけ生まれる、無限の戦術!
『Dead Cells』では挑戦するたびに道中で手に入る武器が変わるため、あらゆる武器の特性を覚え、使いこなすことが生存へと繋がります。メインウェポンは剣や槍、ハンマーなどの「近接武器」に、弓やボウガン、氷、炎の魔法などの「遠距離武器」、それから「盾」。サブウェポンはグレネードやトラップなどで、こちらは一度使うと一定時間使えなくなります。ランダムで手に入る中からメインウェポン2種類とサブウェポン2種類を組み合わせて装備し、戦術を組み立てていきましょう。
またこれらの武器は、名称が同じものでも性能や付加される能力が異なっていて、これらの組み合わせで無限に近い戦術が編み出せます。その中でも意識していきたいのが「炎上」、「凍結」、「毒」などの状態異常。本作における状態異常の付加効果はかなり強力。剣による一閃よりも炎上による継続ダメージのほうが余程強力な局面も少なくない上、「特定の状態異常に対する追加ダメージ」が設定されている武器も多い。これらを組み合わせ、正攻法では叩き出せないダメージを与えることが可能となっています。
【白菜プレイ動画その1】
ステージとステージの間には休憩ポイントがあり、ここではお金を払って武器の強化や付加能力の変更(ランダム)を行ったり、「変異」と呼ばれる「敵を倒すたびに回復」、「敵が近くに複数いると攻撃力アップ」などの能力を入手できます。
これらを駆使して是非あなただけの戦闘スタイルを構築してください。もちろんあらゆる要素がランダムな本作では、お気に入りのスタイルを見つけても全く同じものを再現するのはほぼ不可能。けれどだからこそ毎回与えられた選択肢の中で新たな可能性を試す必要に駆られます。1回1回が新しい挑戦であり、あなたは何度でも新鮮な楽しさを見い出せることでしょう。
②本気で殺しに来る強敵たち……殺られる前に殺れ!!
序盤こそ敵のモーションを見てから回避行動に移れば無傷でステージを踏破していける本作ですが、中盤以降のプレイヤーへの攻撃は苛烈を極めます。一瞬の判断ミスでタコ殴りに合い、為す術なく命を奪われるのです。特に数ステージごとに対峙することとなるボス敵はいずれもそれまでの戦闘技術を総動員してやっと勝てるような強敵ばかりで、彼らが放つ威圧感から操作をミスし敗北に追い込まれることもしばしば。
【白菜プレイ動画その2】
中盤以降の高難易度ステージを乗り越えるには、とにかく「殺られる前に殺る」ことが何よりも大事。先のステージに進めば進むほど性能の良い武器が手に入る本作では、いくら道中で「最高に使いやすい武器」を手に入れても、それに頼り続けて火力不足に陥り始めたとき、あなたの死はもう目前に迫ってきています。
たとえ扱い慣れていなくても、より強い武器に持ち替え、その武器を扱うための最適な装備を構築し直していける対応力は、本作を攻略する重要な鍵。容赦ない殺意に対抗するには、安定志向などお呼びではないのです。
③「死」は新たな始まり――何度も挑戦して強くなれ!!!
どんなにアクションゲームのスキルに長けたプレイヤーが細心の注意を払ってプレイしていても、この『Dead Cells』を一度もゲームオーバーにならず制覇することは不可能でしょう。そして本作は幾度とない喪失をプレイヤーに味合わせる反面、死を繰り返すことでプレイが有利になる仕組みがいくつも導入されています。
まず敵を倒すたび手に入る「セル」を集め、休憩ポイントにいる「収集者」に渡すことで、「ゲームオーバー時に所持金の一部引き継ぎ」、「回復薬の使用回数アップ」など、次回以降のプレイが有利になるご褒美が貰えます。ここでは敵を倒した際まれにドロップする設計図を使って新たな武器や変異のアンロックも可能で、アンロックした武器はその後、道中でも拾えるようになります。
もうひとつ、周回プレイを楽しくするのが「ルーン」の存在。このルーンは特定の敵を倒すことで手に入る、新たな道を切り開くための技能のようなもので、道中に生えている植物から蔦を伸ばしたり、壁走りが可能になったりして、入手するたびこれまで行けなかった場所を探索できるようになります。これによりアイテム収集できる場所が増えるだけでなく、前回は行くことができなかったより難易度の高いステージへの分岐が見つかる場合もあり、より高いハードルへの挑戦はさらに続いていくのです。
もちろん高みを目指せばリスキーな分だけ報酬も良いものが待っています。『Dead Cells』は確かに難しいゲームですが、やり込んだプレイヤーは捧げた死の数だけの甘い蜜が味わえるのです。
■本日ご紹介したゲームのまとめ
『Dead Cells』はローグライクの緊張感と高難易度2Dアクションのスリルが合わさることでかつて無い興奮をプレイヤーに与えてくれる傑作です。昨今、『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)』に近いゲームデザインを指すゲームジャンル「メトロイドヴァニア」は国内外で支持を集め、新作もかなりの数がリリースされていますが、ただのメトロイドヴァニアには興味がない方や、Nintendo SwitchやPS4でメジャータイトルはあらかたやり尽くした方などは、一度本作を試してみてはいかがでしょう?
あなたも是非、数多の死を乗り越えてこそ味わえる達成感に触れてみてください。
■ゲームデータ
『Dead Cells』
ジャンル:ローグライク2D探索型アクションゲーム
価格:2480円[税込]
対応機種:Nintendo Switch、PlayStation4、Steam(PC)