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【行ってみた!】「THE HORROR!!」ホラーミュージックに酔いしれるオールナイトのイベントに潜入!

10月6日の夜23:00から翌10月7日の明け方5:00、吉祥寺にあるシアターカフェ「COCOMARU THEATER」にて、ホラーミュージックをテーマにしたクラブイベント、「THE HORROR!!」が開催された。


イベントでは、現役で活躍するサウンドクリエイターやDJが、ホラーに関する様々なミュージックをアレンジし、次々とDJプレイを披露。
また、幕間では怪談披露や、声優を起用した実話怪談の朗読劇を公演。臨場感たっぷりの演技が、DJプレイとは打って変わって、会場を恐怖に包みこむ。


いわゆる普通のクラブミュージックイベントと違って、様々な趣向を凝らした本イベント。そもそもどういった経緯でイベントが行われることになったのか。


今回は、イベントレポートとともにサウンドクリエイターで、イベントの主催者でもあるヨナオケイシ氏にインタビューを敢行。まずは、イベントが立ち上がった経緯などを伺った。



-まずは、イベントが開催されるに至った経緯をお聞きしてもいいですか?


ヨナオケイシ氏(以下、ヨナオ※敬称略):元々、ゲームがらみのイベントを小規模ながらやっていたんです。直接つながるアイデアはFM音源のイベントの「The FM!!」というイベントがあって、それを2回ぐらいやったんですが、結構反響がありまして。さらに、ジャンルとターゲットを絞ったイベントがやりたいなっていうのがあったんですね。それで「THE SHOOTING!!」というイベントというシューティングゲームに的を絞ったイベントを2回やって、こちらもかなりの反響があったんです。


-FM音源をテーマにしたイベントが企画したのはどういった切っ掛けが?


ヨナオ:昔、ニンテンドーDSで「KORG DS-10」というソフトが出て、あの小さい本体の中でしっかりしたFM楽曲が作れるものがあったんです。これで作ったFM楽曲をクラブとかでガンガン流したら面白いぞ、ってなった。そう思ってたのは僕だけじゃなくて、色々なクリエイターがこれを使ってイベントやりたいっていう話があちこちからあがったので、2008年ごろだったかな、ちょこちょこイベントを企画してました。
その後、ゲームのFM音源のリバイバルブームみたいのがあって、タブレットで作曲などができるアプリがあるんですが、アプリ内で使用するデモ曲の作成の仕事をしたことがきっかけで、FM音源のイベントをやりましょうとなって、「The FM!!」に繋がります。


-すごくシンプルでわかりやすいタイトルですね。


ヨナオ:イベントの「THE 〇〇」という名前は、自分の同業者で若くして鬼籍に入ってしまった梅本竜さんがいるんですが、彼のネーミングセンスが「〇〇 THE MIX」みたいな感じのタイトルの付け方をしてたんですよ。彼の作った曲の中でも「THE FM」っていうのがあったんです。亡くなってしまった彼への追悼も込めて、この名前にしました。


-「ホラー」をテーマにしようと思ったのはどのような理由だったんですか?


ヨナオ:自分自身がYoutubeであるとか、ネットでいろいろ見てる中で、好きなものがホラー要素に偏ってるなという感触があって、ターゲットを絞ったイベントという発想と合わさって企画に至りました。


-タイミング的にはハロウィンの時期でちょうどいいですよね。


ヨナオ:いや、たまたまなんです(笑)。会場が「COCOMARU THEATER」というシアターカフェなんですが、比較的新しい施設で企画上映以外にもイベントなどを積極的にやりたいということで、最初は設備的な部分でアドバイザーとしてお仕事をしてたんです。そこで自分も色々なイベント主催しているいうお話したら、ぜひうちでやってくれということになったんですね。
せっかくハロウィンシーズンと被ったので、当日は更衣室スペースも設けて、お客さんがコスプレできるように配慮しました。


-イベントの内容もバラエティ豊かですね。


ヨナオ:サウンドクリエイターの方たちによるDJプレイ、VJプレイを中心に幕間では「新耳袋」シリーズなどでも有名な怪談蒐集家の木原浩勝さんによる怪談話や、声優さんたちの怪談朗読劇とDJプレイをミックスした企画、あとは協力いただいているインディーズゲームパブリッシャーの「乙SUN倶楽部」さんのトークイベントなどもやらせてもらってます。


-出演者は選出はどういった形だったんですか?


ヨナオ:イベントにとって親和性が高いかどうかにウェイトを置いて選んでます。ただ、他のイベントにも出てもらってる方でモチベーションが高く、どうしてもやりたいということであれば、どんどん参加してください、という事であまり縛りは設けてません。


-出演者の方には、どういった演出や提案をしているんでしょうか?


ヨナオ:ホラーっていうテーマだけ伝えて、何をやるかは自由にやってもらっています。皆さん、イベント等の出演経験もあるベテランの方ばかりなので、大喜利的に各自が好きな発想で自分の時間を使ってもらえればと思います。そういうライブエンターテイメント感を大事にしたいですね。


-朗読劇とDJプレイのミックスというのも面白いですね。


ヨナオ:最初はDJイベントだけでもいいかなと思ったんですが、企画会議をしている中で朗読劇をやりながらリアルタイムでBGMをつけるというアイデアが提案されて、じゃあ、やってみましょうと。
一緒に仕事をさせてもらっている「乙SUN倶楽部」のシナリオライターの文音(あやね)さんが、生の芝居が見たいと自ら脚本制作を買って出てくれました。さらに、お仕事柄、声優事務所さんとも伝手があるということで、企画をお願いしました。


-その他に、イベントのオススメポイントを教えてください。


ヨナオ:吉祥寺にある「きっちん大浪」という定食屋さんとコラボして、「ホラー飯」みたいな企画でやってもらうんですよ。この辺も出演者の方々と同じように、ホラーというテーマで自由に料理を作っていただいて、お店の宣伝を兼ねて出してもらうというイメージです。


-イベントを行う上で苦労した点はありますか?


ヨナオ:集客がどうなるかヒヤヒヤしてるぐらいで、それに関しては運要素もあるから仕方ないというか。ストレスはそれぐらいですかね。ただ、企画運営は基本的に僕一人がやっていて、一極集中しちゃうのはあんまりよろしくはないという事で、その辺は改善するべきところではあります。知り合いのイベンターの方々にも、何かあった時に周りが困るから直せと言われていまして(笑)。


-今後はどのように展開していきたいですか?


ヨナオ:規模自体を徐々にではありますが大きくしたいと思いつつ、僕の中では急がずにじっくりとコミュニティを醸成させて、ファン層に定着するイベントにしたいです。年2回ぐらいを基本にして、間をつなぐイベントを別で企画して、風物詩的なイベントになったらいいなと。


-ファンによるコミュニティが大事なんですね。


ヨナオ:もちろん、新規のお客さんも大事なんですが、まだ新興で実験的なところも多いイベントだけに、集まってくるファンの方々の良識でほとんどトラブルもなくイベントが成功しているという事も感じています。
長年活躍されているクリエイターも参加しているので、それぞれがファンコミュニティを持っているんですね。そういった出演者とファン同士のコミュニティがうまく混ざって交流が生まれればというのと同時に、このイベントの核となるファンコミュニティを作って行きたいところです。あまり規模拡大にばかり意識が行くとパンクしちゃうので、もっとじっくりと認知度を上げていきたいですね。


-イベントに参加する方にたいして、伝えたいことはありますか?


ホラーのBGMはカッコいい側面もあるっていうのを知って頂きたいなと思います。緊張感だったり、恐怖だったりというストレス的なものが基本にあるんだけど、それをクラブアレンジにすると中々どうしてカッコよくなるんですよ。そういう面白い音楽体験をしてもらいたいと思います。


インタビューを行って感じたのは、新興のイベントだけに試行錯誤しながらも面白ければどんどんやろう、という熱量とスピード感だ。実は、インタビュー中にもこんな企画はどうかなど、新しい企画案で盛り上がり、次回やってみましょうか、とヨナオ氏本人の懐の深さとフットワークの良さも感じられる。


■聞くだにワクワクするイベント内容、さっそくイベントレポートもお届けしよう。



場所はこちら、吉祥寺にある「COCOMARU THEATER」。町の小さな映画館といった雰囲気でノスタルジックな外観。




準備中にもお邪魔させてもらった。開演に向け会場設営や機材セッティングを行うスタッフの方々。




声優陣も会場を盛り上げるためコスプレをして待機、朗読劇の台本チェックなど、準備を進めながら開演を待っている。



いよいよ開演、来ている観客は男女問わず世代も幅広い印象だった。






各DJの方々は、映画上映用の大きなスクリーンを使ったVJプレイを披露。使用される楽曲はホラーミュージックだけではなく、オリジナルから映画のサントラ、アニメのBGMなど様々。ジャンルもカッコいいクラブサウンドから、テクノ系や、シンフォニックなものまで多岐に渡る。



怪談の「新耳袋」シリーズをはじめ、トークやラジオなど多彩な仕事ぶりの木原浩勝氏による怪談披露。膨大な数の怪談を覚えている木原氏は、吉祥寺という土地に絡んだ怪談を紹介。自身が所属していた「スタジオジブリ」が設立当時、吉祥寺にあったことと絡めて、当時体験した怪談を語ってくれた。司会や、トークイベントも数多くこなしている木原氏だけに、観客を引き込む語り口と緩急の付け方は絶妙で、本人の持ち時間ではないところでも、機材トラブルでイベントが止まっている間、場をつなぐというアクシデントに即座に対応。さすがの腕前である。




声優さんたちによる朗読劇は、実際にあったとされる実話怪談をベースに、「乙SUN倶楽部」のシナリオライター、文音氏が脚本を作成した「いなくなったリポーター」と「業」の2本。文音氏自身の故郷でもある福岡では有名な心霊スポット、犬鳴峠にあるトンネルでの怪談朗読劇が臨場感ある芝居で披露された。DJとして参加している高見龍氏が、リアルタイムでBGMやSEを担当。途中、重要なシーンで測ったかのようにマイクがハウリング。仕込みも何もないとのことで、恐怖がより倍増した。



インディーズゲームパブリッシャー、「乙SUN倶楽部」のトークイベントも開催。同社がプッシュしているホラーゲームの最新作、「隣人-Neighbor-」の紹介や、次回作に関する情報などイベントの主催者で音楽制作を担当しているヨナオ氏と高見氏、そして主演声優を務める武田直人氏による作品についてのトークが行われる。



さらに現在、次回作「フクロウさん」のクラウドファンディングを展開中。目標金額のさらに上の、ストレッチゴールと言われる企画者が希望する金額を集めると起用できるサウンドクリエイターも登壇。
増子津可燦氏、海田明里氏、むらさきひろふみ氏、佐藤豪氏といずれも長年活躍されているサウンドクリエイター陣。このメンバーが一堂に会してサウンド制作するというのはなかなかないのではないだろうか。ぜひともストレッチゴールが達成されることを願うばかりだ。



1階の受付横では、「乙SUN倶楽部」の関連商品の物販も展開。主催者のヨナオさんは「協力してもらってるので、ぜひ好きに使っていただければ」ということで、提供しているとのこと。「THE HORROR!!」のイベントグッズについても現在検討中。



売り子は朗読劇にも参加していた男性声優さんたちが、「乙SUN倶楽部」のゲーム内で実際に演じたおかまバーの店員のコスプレをして担当。オネェ口調でノリノリだった。




こちらは、吉祥寺にある定食屋「きっちん大浪」が本イベントとコラボして考案した弁当、「黒い心臓ボックス」。弁当の中は、オニギリにビーフジャーキー、ポテトサラダ、刺さっている骨は魚の骨をパリパリにして煎餅のようにしたものと、エビ煎餅。見た目にこだわりつつ、美味しいおかずと大きなおにぎりで満腹感もばっちり。ドリンクはノンアルコールと、赤ワインの2種類を用意。血をイメージした赤ワインにピンポン玉で作った目玉、中にはラズベリーが浮かんでいるが、内蔵っぽいイメージでグロテスク感を演出。



1階の映画館を休憩室スペースとして開放。オールナイトだけに、まったり弁当を食べていたりぐっすりお休みしているお客さんもいた。



主催者のヨナオ氏も出番に向けてコスプレして準備万端。




ラストのパートを担当するヨナオ氏と高見龍氏の二人のDJプレイ。1階で休憩していたお客さんやスタッフも全員揃い、最後のパートを楽しんでいた。


まだ新興のイベントということもあり、ホラーと言いつつも進行管理はかなりゆるくまったりした雰囲気で、来てもらうファンの良識や長年付き合いのある出演者同士のコミュニティが主体となっている印象。出演者との距離も近く、有名クリエイターと気軽に話したりできるというところで、.非常に居心地のよいイベントだった。


ただ実験的で、手探りで行っているところもあり、ヨナオ氏本人も言っていたようにあまり急いで規模を大きくすると、タイムテーブルや会場運営などの部分で手が回らなくなる可能性が高いというところも納得できる部分があった。
しかし、トークイベントや朗読劇など様々な試みを行うことで、お祭り感のある内容になっており、観客と一緒にイベントを盛り上げようというアットホーム感が、大きな規模ではなく、小さい会場でじっくり楽しむというイベントの性質と非常に親和性が高いと思われる。


まずは、定期的なイベント開催を目標にしているとのことで、今後どのようなに成長していくのか、スタートを切ったばかりの楽しみなイベントである。


2018-10-19 06:00
東響希
2018-10-19 06:00
東響希
この記事のURL
https://startt.jp/article/2018/10/19/53875


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