今シーズンのD1グランプリも大詰め! 聖地「エビスサーキット」でのデュアルファイナルが8月25日(土)、26日(日)の2日間開催されます。他のサーキットとは異なるエビス戦の見どころを紹介しましょう。
■日本生まれのモータースポーツ「ドリフト」
ドリフトとは、曲がる方向とは逆にハンドルを切る、つまりカウンターステアを当てながら後輪を滑らせながら走らせるドライビングテクニックのこと。1980年頃に日本の峠や埠頭など、夜間に人気のない場所から生まれたストリート発祥の走法と言えます。後輪からタイヤスモークをあげて走る姿は迫力満点です。
その人気は日本のみならず世界にまで広がり、昨年F1やWRCを統括するFIA(世界自動車連盟)の公式競技にドリフトが認定されたほどです。
ちなみに後輪を滑らせる走法はラリーなどではお馴染みのテクニックですが、これらは海外では「スライド」と呼ばれています。ドリフトとは英語のようでいて日本が生んだ言葉なのです。
2000年にエビスサーキットで「ドリフト」を「賞金が出る競技」、つまりプロスポーツとして行ったのが「全日本プロドリフト選手権」。今のD1グランプリにつながります。
■レースは「単走と追走」の2種類
D1グランプリは「単走」と「追走」という2つの競技があります。単走はドリフトの正確さやカッコよさ、最高速を競います。
この単走の上位16名が「追走トーナメント」に進出します。単走は予選を通過した24名の中から、最初に上位8名が勝ち抜け、その後残りの16名で8名を選び出します。つまり最初の上位8名に入るとタイヤが1回分走行しないため、追走トーナメントで有利になります。
まずは単走で上位に入賞することが、追走を有利に進めるうえで重要なカギとなります。今シーズンはTOYO TIRESのエース、川畑選手が第2戦以降負けなしの4連勝!
それを昨年のシリーズチャンピオンである藤野選手が追っています。
追走は先行する車両に対して、後続する車両(後追い)がどれだけ近くでドリフトができるか、を競います。
1組ごとに先行と後追いを入れ替えて2回走行します。とても距離が近いので迫力があります!
今シーズンはD-MAXの横井選手が2連勝してリードを築いたのですが、前戦の筑波ラウンドでまさかの追走トーナメント進出ならず。チャンピオンシップ争いは1位から4位までがわずか10ポイントという大接戦となっています。
■聖地エビスの名物「ジャンプドリフト」
D1グランプリの聖地であるエビスサーキットの南コースは、山の斜面を利用したコースレイアウトが特徴で、かなりの勾配があります。
その中でも下りながらシケイン状のコーナーをジャンプしながらドリフトをする「ジャンプドリフト」がこのコースの名物です
ジャンプドリフトがあるのはD1グランプリでこのコースだけ。ジャンプ後には右側にコンクリートウォールがあり、ヒットして姿勢を乱すとすぐにクラッシュしてしまいます。
昨年も横井選手が着地後にタイヤがホイールから外れ、ウォールにヒット! そのままコントロール不能となり、タイヤバリアーに激突し、さらに逆立ちして止まるというハプニングがありました。
先日行われたD1グランプリ筑波ラウンドで川畑選手は「エビスの練習はエビスでしかできない。時間をみつけて練習しに行かないと攻略できない」と語るほか、現在ランキング1位でエビスサーキットに勤める末永直登選手にいたっては「本当に苦手で……」というほど。しかもエビス戦は土曜日と日曜日、それぞれに追走トーナメントが行われます。ここで一気に大量得点を稼ぎ、逆転することも夢ではありません。
■注目選手はこの人!
最注目はランキングトップの末永直登。
今シーズン優勝は無いものの第3戦以降は表彰台に立っています。それを1ポイント差で追うのが川畑正人。TOYOのエース、そして初代世界王者として負けるわけにはいきません。川畑を3ポイント差で追うのは昨年のディフェンディングチャンピオンの藤野秀之。やや浮き沈みがあるものの昨年のエビスは優勝しています。
今季2勝している横井昌志も優勝候補の筆頭でしょう。今年からニューマシンになら絶好調。筑波はミスしたためノーポイントに終わりましたが、それでもトップから10ポイント差に着けています。
さて今シーズンで引退する野村謙にも注目です。D1の初年度から参戦しているレジェンドは、ここ数年低迷していたものの、今シーズンは2度、予選を通過しています。「白煙番長」が豪快なドリフトをみせてくれるのか楽しみです。
■土曜日は大忙し!恒例「D1夏祭り」開催
土曜日は午前中に単走決勝、午後に追走トーナメント決勝、その後に翌日の予選を行うというハードスケジュール。1日中ドリフト祭というプログラムとなります。さらに5時頃からは毎年恒例となっている「D1夏祭り」が行われます。
D1夏祭りでは、レースクイーン達が浴衣姿を披露して浴衣クイーンを決定するコンテストが行われるほか、選手たちによるピザや焼き肉、スイカがふるまわれます。
■カーレース大会 データ
大会名称:2018 EBISU DRIFT
開催日程:2018年8月25日(土) 7:30〜
2018年8月26日(日) 7:30〜
開催サーキット:エビスサーキット
■次回のレース
大会名称:2018 TOKYO DRIFT
開催日程:2018年11月3日(土・祝) 決勝
開催サーキット:お台場特設コース
そしてフィナーレとして花火が打ちあがり、夜空を彩ります。平成最後の夏の思い出づくりにエビスサーキットにおとずれてみてはいかがでしょう。近くには美肌の湯で知られる岳温泉がありますよ。
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