今年は、F1鈴鹿グランプリ初開催から30周年、日本で10年ぶりとなる24時間耐久レース開催、そして6月にモータースポーツを題材にした映画『OVERDRIVE』が公開されるほか、モータースポーツが再び盛り上がりを見せています。その盛り上がりは、全国各地のサーキットでは毎週末どこかで大きな自動車レースが行われているほど。ですがモータースポーツといっても実に様々。ここでは初めてモータースポーツを観戦する方に、現在国内で行われている主なレースのカテゴリをご紹介します。
SUPER GT
日本でもっとも人気が高いモータースポーツカテゴリです。市販車に近い形のレーシングカーが用いられ、その中でGT500クラスと呼ばれる「世界最速のGTカー」と、市販レーシングカーの世界規格「FIA-GT3」と、国内規格車両「JAF-GT」によるGT300クラスという2カテゴリが混走します。どちらも1チーム2名~3名のドライバーがレース中に交代して300km~800km近くを走行し、クラス優勝を目指します。全8戦行われ、そのうち1戦は海外(今年はタイ)で開催されます。優勝すると次戦から重りを載せられる(ウェイトハンディ)など、レースをより面白くする工夫がされています。
GT500クラスはLEXUS(トヨタ)、日産、ホンダの3社15台で争われ、予選も全車で2秒以内と実力も拮抗。レースも順位が目まぐるしく変わる白熱したレースが楽しめます。
GT300クラスはメルセデスAMGやランボルギーニといった世界のスーパーカーが数多く出走し、バラエティがとても豊か。中でも車体にボーカロイド「初音ミク」のイラストが描かれている「グッドスマイル・初音ミクAMG」は、このクラスの有力チームとして高い人気を誇ります。
SUPER FORMULA
SUPER GTがチーム対抗戦とするならば、SUPER FORMULAは個人の力量を比べるレース。19人のドライバーが「日本一速い男」の称号をかけて争います。F1マシンに似た形のマシンを使い、ドライバーの力量を図るためシャーシとタイヤは全車共通、エンジンはトヨタとホンダのいずれかから選びます。昨年まではトヨタが強かったのですが、今年はホンダが巻き返しています。
スーパー耐久
街中でよく見る「トヨタ・ヴィッツ」や「ホンダ・フィット」といったコンパクトカーをレーシングマシンに仕立て上げたものから、市販レーシングカーである「FIA-GT3」マシンまでが長時間にわたり混走するレース。60台近くのマシンが、それぞれのクラス優勝を目指して走行します。SUPER GTに比べて小規模なレーシングチームが参戦しているのが特徴です。今シーズンは全6戦行われ、6月の初旬に富士スピードウェイで行われる24時間レースは、日本で10年ぶり、富士スピードウェイとしては50年ぶりとなるレースなだけに注目されています。
全日本ラリー選手権
ここまでは舗装されたサーキットでのレースでしたが、荒れた道を走行してタイムを競うのが「ラリー」です。全日本ラリー選手権はその最高峰に位置し、北海道の雪原の中から峠道、そして未舗装路まで色々な場所を走ります。もちろん事故が起きますが、比較的間近でピットクルーが修理する姿を見ることができます。今年6月公開の映画『OVERDRIVE』は、この全日本ラリーをベースにした作品です。
D1グランプリ
タイムを競う競技に対して、走行姿勢の美しさや2台の車両の接近具合を競うのが「ドリフト競技」です。日本では大きく3団体が競技を運営していますが、その中で「D1グランプリ」は世界で初めて「賞金を出して、プロドリフト選手権として旗揚げした」団体になります。車は市販車を元に大幅に改造したもので、中には1000馬力を超えるマシンも。比較的狭い場所で行うことができるので、東京や大阪といった首都圏の駐車場で行われ、またサーキットとは異なり、1カ所からコース全体が見渡せるので初めてのモータースポーツ観戦にオススメです。白煙を上げながらコーナーを駆け抜ける姿は迫力満点ですよ。
モータースポーツは毎年3月末から開幕し11月中旬にシーズンが終了します。それまでの期間、ほぼ毎週全国のどこかで上記のレースが行われますので、ぜひサーキットに足を運んでみてはいかがでしょうか。